2009年3月25日(水)「しんぶん赤旗」
賃上げといっても中小企業は大変では?
〈問い〉春闘で組合が「賃上げこそ景気回復の道」と訴えていますが、企業経営を圧迫しませんか。中小企業は大変では?(兵庫・一読者)
〈答え〉労働組合が「雇用と賃上げ」が景気回復の道と要求しているのは、今日の貧困と雇用破壊、経済の落ち込みの元凶が、「構造改革」路線による賃金抑制と、増税や社会保障などの負担増で国民生活が圧迫されてきたからです。
この10年間を見ても、製造大企業の経常利益は8・2兆円、株主配当は4兆円も増えているのに、労働者の賃金は2・3兆円減っています(財務省「法人企業統計」)。賃金を抑え、「非正規」労働者を増やして莫大(ばくだい)な利益をあげてきたのです。賃上げをしたからといって、経営を圧迫し、経済が立ち行かなくなるわけではありません。不況を打開し、経済を立て直すうえでも、いまこそ大企業が内部留保を活用して賃上げも雇用も確保することが不可欠です。
体力のない中小企業は、大企業のようにいきませんが、賃上げで国民の懐を温め、雇用を安定させることが内需を拡大し、経営改善にもつながることは明らかです。むしろ大企業による単価の買いたたきなどの下請けいじめや大銀行の貸し渋り・貸しはがしをやめさせ、資金供給への責任を果たさせることが政治に求められています。
日本共産党は、大企業による中小企業いじめや規制緩和の是正、金融や税制の改善、中小企業への賃金助成など緊急対策を政府に提案しています。全企業の99%を占める中小企業への支援を手厚くすることは、経済を活性化させる原動力にもなります。大不況のときこそ、国と地方の税金の使い方を、労働者の雇用やくらしを守る方向に改めることが求められています。
全労連に参加する中小企業の労働組合も、こうした考えから「たたかう提案型運動」(全労連全国一般)、「合意協力型労働関係」(JMIU)、「トラック労働者の賃金・労働条件改善と一体で輸送の安全と業界秩序の確立、中小企業の経営環境改善追求」(建交労)などの方針でたたかっています。(加)
〔2009・3・25(水)〕