2009年3月28日(土)「しんぶん赤旗」

フィリピン人一家の退去問題をどう考える?


 〈問い〉 フィリピン人・カルデロンさん一家に関する法務省の強制退去命令があり、両親が帰国せざるをえない事態となっています。日本共産党はどう考えますか?(埼玉・一読者)

 〈答え〉 法務省入国管理局は、フィリピン人のカルデロン夫妻と中学生・のり子さん(13歳)を「不法滞在」として、親子3人で帰国するか、適切な保護者を確保してのり子さんを残し、両親だけ帰国するかの判断を求め、両親が帰国する意思を示さない場合は3人を強制送還すると命令していました。これに対し、カルデロンさん一家は、のり子さんだけを日本に残し、両親はのり子さんの始業式を見届けて、4月13日に帰国することになりました。

 日本共産党は、入管当局の措置はきわめて不当で、全員の在留を認めるべきであると考えており、石井郁子、塩川てつや両衆院議員、井上哲士、仁比聡平両参院議員が3月4日、森英介法務大臣に会い、在留特別許可を強く要請しています。

 のり子さんは日本語でしか話したり考えたりすることができないほど成長しており、両親と日本での生活を送り、日本の学校に通い、同世代の中での成長を強く望んでいます。のり子さんが帰国すれば、教育や社会生活などでさまざまな差別や困難な条件に置かれ、成長発達が阻害されることになるでしょう。

 こうした場合、子どもの権利条約の「子どもの最善の利益を考慮する」(第3条)、「子どもがその父母の意思に反して父母から分離されないことを確保する」(第9条)などの規定に照らして、本国に強制送還したり、親から引き離すような措置は、あってはならないことです。

 また、カルデロンさん一家は日本で働くために来日して15年以上たち、納税義務も果たしています。当局は、「他の不法滞在者に影響する」などと説明していますが、オーバーステイのみを理由にして退去強制を命じ、日本で生まれた子どもの発達権を侵害することは、日本政府が批准している子どもの権利条約に照らして違法であり、それを政府が正当化することは許されないと考えます。 (光)

 〔2009・3・28(土)〕


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