2009年3月30日(月)「しんぶん赤旗」

日本共産党を伸ばし、福祉、教育、暮らし最優先の都政を

東京・大田 志位委員長が訴え


 日本共産党の志位和夫委員長は二十九日、東京・大田での演説でいまの都政に、どういう転換が必要か四つの角度から語りました。


福祉と教育――全国最低から再び先進を

写真

(写真)演説する志位和夫委員長=29日、東京都大田区

 第一は、福祉と教育で全国最低から再び先進を目指すことです。

 石原知事は「何がぜいたくかといえばまず福祉」と言い放ち、この間(一九九九年度と二〇〇六年度の比較)、予算に占める民生費の割合を全国の都道府県で二位から四十四位に、老人福祉費割合は二位から四十七位と全国最下位にまで転落させました。

 最も冷酷な切り捨てが行われたのが高齢者福祉です。老人医療費助成、無料シルバーパス、老人福祉手当、特別養護老人ホーム運営費・用地費補助など主なものだけでも十もの事業を廃止・改悪。石原都政と「オール与党」は年間七百四十億円もの予算を削りとりました。

 志位氏はこうした事実を告発するとともに「とりわけ深刻なのが特別養護老人ホームの不足だ」と指摘。火災で入所者が死亡した群馬県の高齢者入所施設で明るみに出たような悪質な無届け有料老人ホームなど高齢者版「貧困ビジネス」が都内でも横行している実態を生々しく告発し、特養ホームの運営費・用地費補助を廃止した「オール与党」は許せないと強調しました。

 さらに、志位氏は、都が〇六年に策定した『福祉・健康都市 東京ビジョン』という方針を示して、冷酷な福祉切り捨ての根本に、行政による「福祉サービスの提供」を否定し、都民に「行政に頼らず自立せよ」と説く、恐るべき福祉否定論があることを批判し、「東京の福祉を最も残酷に切り捨てられた高齢者福祉から再建しましょう。六十五歳以上のお年寄りの医療費窓口負担を軽減し、七十五歳以上は無料にしよう」と訴えると割れるような拍手が起こりました。

 教育では二〇〇六年度から四十六道府県で少人数学級が実施されているのに、唯一拒否しているのが東京都です。志位氏は、三十人学級を求める請願を不採択にした自民、公明、民主の各党をきびしく批判。三十人学級は、〇九年度予算で削られた百三十三億円分の教育庁予算を維持するだけでできると述べ、「ここでも恥ずべき全国最低を返上しよう」と訴え、大きな拍手に包まれました。

オリンピックを看板にした巨大道路より暮らしに税金を使え

 第二は、オリンピックを看板にした巨大道路より都民の暮らしに税金を使うことです。

 志位氏は、石原都政と「オール与党」がオリンピック招致を看板に財界の要求から始まった「三環状道路」(首都高速中央環状線、東京外かく環状道路、圏央道)の整備に熱中していることを、都が〇六年に策定した『10年後の東京――東京が変わる』をしめして告発。住民に立ち退きを迫り、高尾山などの貴重な自然を壊しながら、総額で数兆円規模もの巨額の税金をつぎ込もうとしていることを批判しました。

 その経費は「一メートル一億円」。志位氏がこう紹介すると会場からは「えー」とどよめきが。▽七百四十メートル分で削った高齢者福祉を復活できる▽百三十三メートル分で三十人学級を実現できる―と逆立ちした税金の使い道の転換を具体的に示し、「オリンピックを看板にした巨大道路より、都民の暮らしに税金を使え」と訴えると、大きな拍手が起こりました。

都議会の税金に対する感覚まひを一掃しよう

 第三は、都議会の税金に対する感覚まひを一掃することです。

 日本共産党都議団の調査発表(昨年十二月)によると、〇五年八月から自公民の三十一人の都議が六回の海外視察を行い、費用は一人平均百八十九万円にのぼると指摘。「全国平均の二倍以上でこちらは全国トップ」と告発しました。その内容も観光地巡りなどで、一部報告書には他人のリポートの盗用も発覚。志位氏が「きっぱり中止を」と訴えると「そうだ」の声と強い拍手が起きました。

 経営破たんが明らかになった新銀行東京をめぐっては、都民の税金で出資した一千億円の多くを失った上に、四百億円もの追加出資がごり押しされました。

 志位氏は三月議会で、知事の判断で、いつでも、いくらでも乱脈融資の赤字穴埋めに税金投入ができる道を開く条例を「オール与党」で可決したことを「これも感覚まひの極みです」と批判。「破たんしたものは、都民負担を最小に破たん処理を」と訴えると拍手がわきおこりました。

都民とともに都政を動かした共産党都議団を大きく

 第四は、日本共産党都議団が、都民の運動との共同で都政を動かしてきた数々の実績をもち、これを伸ばしてこそ都民の声がとどく都議会をつくれることです。

 子どもの医療費については、十月から中学校三年生まで入院は無料、通院は一回二百円となります。志位氏は、日本共産党都議団が提案した無料化条例案を自公民三党は「ばらまき」と非難していたが、都民と日本共産党との共同でついに無料化の拡大が実現すると強調しました。

 日本共産党都議団は、築地市場を、汚染が深刻な豊洲に移転する計画についても、都民の運動と力を合わせて、これまで着工を許さずにきたと指摘。

 雇用・失業対策でも、「フリーター」は「ごくつぶし」と議会で公言していた石原知事と真っ向から対決し、五十万人の緊急雇用対策や離職者への無利子融資に踏み出させたと述べました。

 志位氏が「日本共産党都議団を伸ばして、福祉・教育・暮らし最優先の都政を築こう」と訴えると聴衆は「そうだ」の声と盛んな拍手で応えました。



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