2009年4月2日(木)「しんぶん赤旗」
新基地建設 強行の構え
アセス準備書防衛省が提出
環境への影響少ない」
沖縄・辺野古
防衛省は一日、日米両政府が沖縄県名護市の辺野古崎に計画している米海兵隊の新基地建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の準備書を県と名護市、宜野座村に提出しました。ジュゴンやサンゴなどへの「影響は少ない」として日米合意案の建設を強行する構えです。
準備書は三分冊で五千四百ページ。二日から五月一日まで公告縦覧し、五月十五日まで住民からの意見を受け付けます。県アセス条例は、事業者である沖縄防衛局に対し、準備書の記載事項を周知するため、縦覧期間中の住民説明会開催を義務づけています。
準備書は、V字型滑走路に加えて、二〇〇七年八月の方法書にはなかったヘリコプター離着陸帯(へリパッド)四カ所の設置を新たに盛り込みました。
新基地建設による航空機の騒音は、滑走路をV字型にして運用するため周辺地域上空の飛行を基本的に「回避する方向で対応しており、騒音による影響は相当程度低減できる」としています。サンゴへの影響は埋め立てなどで約七ヘクタールの生息域が消失すると予測。しかし同域には「注目されるサンゴ群生はみられない」と指摘。ユビエダハマサンゴなど貴重種が分布する大浦湾の埋め立て、しゅんせつは取りやめたとしています。
ジュゴンへの影響は、嘉陽沖に常在しているとして新基地による「生育環境に与える変化はほとんどない」と予測しました。
東恩納琢磨・沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団長の話 準備書は辺野古でのジュゴンの食跡を確認できなかった、としていますが当然です。違法な事前調査でソナーやビデオカメラをわざわざジュゴンの餌場や通り道に設置して近づけさせないようにしたのだから。建設ありきで、問題があれば計画中止も検討するゼロオプションがない環境アセスは国際的にも認められない。来年名古屋で開催が決まっている生物多様性条約締約国会議のホスト国としてはずかしい。準備書は公民館などで住民が気軽に閲覧できるかたちで広く公開すべきだ。
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アセス準備書 一定規模以上の開発や公共事業などを対象にした、事業による環境への影響を事業者が事前に調査、予測、評価する環境影響評価(アセスメント)の手続きの一つ。方法書が水質、騒音などの環境への影響をどんなやり方で調べるかを示すのに対し、準備書は方法書にもとづく環境調査の結果と分析、環境への影響予測と対策についての考え方を示します。