2009年4月4日(土)「しんぶん赤旗」

G20 米の金融主導終えんへ

ドル基軸通貨見直し論も


 主要二十カ国・地域(G20)金融サミットは米国発の金融危機が引き金となった世界的な経済危機に対処するため、米欧日などの先進国だけでなく、中国、インド、ブラジルなど新興国も参加し、途上国への支援を含む景気対策、金融規制・金融機関改革などで合意しました。会議は米国一国主導の国際金融支配体制が幕を閉じつつあることを示しました。(ロンドン=西村央)


 「新世界秩序が生まれるとともに、われわれは国際協力の新時代に入りつつある」―金融サミットで議長を務めたブラウン首相は二日、記者会見でサミットの意義をこう強調しました。

 財政出動による景気対策を優先させる米国に対し、すでに打たれた景気対策の効果を見守り、サミットでは金融規制を優先させるべきだと主張する独仏―サミット前には、この米欧対立がメディアの関心を呼びました。

 投機市場で暴利を求めて暗躍したヘッジファンドの規制を含む金融機関への監督・規制の強化で合意が成立した事実は、金融機関への規制緩和を是とし、事実上その活動を野放し状態としてきた米英主導の路線が立ち行かなくなったことを意味します。

 サルコジ仏大統領はこの点で「規制の失敗が現在の危機の元凶であることが公式に認められた」とのべ、「世界が金融のモデルとしてきた米英型の金融のページは終わった」と強調しました。

 米国主導の国際金融支配体制を揺るがせているのは規制問題に限りません。今回のサミットを前にして、中国やロシアからは、ドル基軸通貨見直し論も飛び出しました。

 中国人民銀行の周小川総裁は三月末、「金融危機の拡大は、現行の国際通貨システムの欠陥の現れ」と指摘し、基軸通貨ドルの限界に言及していました。

 これに対して、オバマ米大統領は、「米ドルは現時点で極めて強い(通貨だ)」と反論するとともに、ドルを基軸とした国際金融体制を堅持する姿勢を強調しました。

 ドルの基軸通貨見直しをめぐる議論は、昨年の金融危機発生の際に、一九四四年のブレトンウッズ体制に代わる新たな国際金融体制の必要性と同時に沸き起こりました。

 金融危機の土俵ともなったドルの基軸体制の見直し―これは今回の宣言には盛られなかったものの、ロシアは中長期的な課題としてとりあげました。主要国の思惑も秘めながら、模索がなお続くことになります。


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