2009年4月9日(木)「しんぶん赤旗」

北朝鮮に核兵器開発を終わらせる――この最も重要な目的達成のための外交努力こそ

水戸で志位委員長が訴え


 日本共産党の志位和夫委員長は八日、水戸市で演説し、その冒頭で、北朝鮮のロケット発射問題について次のように党の立場を表明しました。


写真

(写真)訴える志位和夫委員長=8日、水戸市

 わが党は、ロケット発射について「自制」を強く求めつづけてきました。その立場から、私は、今回の北朝鮮の行動に対して、地域の平和と安定に緊張をもたらす恐れのあるものであり、「きわめて遺憾」であると表明しました。

6カ国協議での対話を再開させるためのあらゆる努力を

 今後の対応で大切なことは何でしょうか。二つを強調しておきたいと思います。

 第一に、国際社会にとって、いま何よりも重要な目的は何か。それは北朝鮮による核兵器開発を終わらせることにあります。朝鮮半島の非核化をはかることにあります。ここを見失わず、ここに努力を集中することが大切であります。

 この目的の達成のためには、外交的努力が唯一の手段であることは論をまちません。そして外交的解決の場としては六カ国協議こそが最良の場であり、そこでの対話を再開させることこそが大切です。そのために努力をつづけることが何よりも重要だということをまず強調したいのです。(拍手)

やみくもな制裁強化論、軍事対応論は外交的解決の障害をつくるだけ

 第二に、そうした努力をつくさないままの、やみくもな制裁強化論、ましてや軍事対応論は、外交的解決をはかるうえでの障害以外の何ものでもありません。

 昨日、今日と、衆参両院で北朝鮮への「抗議決議」が採決されましたが、この決議には大きな問題点がありました。

 まず決議では、北朝鮮の行動を「ミサイル発射」と断定していますが、「衛星」か「ミサイル」かについて現状では未確認であることは、政府自身も認めています。

 また決議では、「国連決議に違反する」と断定していますが、「ミサイル」と断定できない以上、「国連決議に違反する」と断定する根拠もありません。

 さらに決議では、「独自の制裁を強めるべき」としていますが、根拠のない、やみくもな制裁強化論は、日本の側から情勢の悪化をつくりだすことになります。

 わが党は、これらの問題点の是正を求めましたが、自公民が聞く耳をもたないという態度だったので、わが党は決議に反対しました。この種のやみくもな制裁強化論は、一見「勇ましい」ように見えても、何の役にも立たず、外交的解決をはかるうえでの障害をつくるだけで、有害です。(拍手)

 さらに有害なのは、軍事対応論です。政府は、ロケット発射にいたる過程で、道理に立った外交的努力をつくさないまま、ものものしい軍事的対応を突出させる態度をとりました。これに対して、共同通信は「“強気発言”より外交努力を」と題してつぎのような「論説」を配信しました。

 「政府を代表する麻生太郎首相が早々に迎撃する可能性を指摘、北朝鮮を挑発するかのような姿勢を取ることには、疑問を抱かざるを得ない。……『ミサイルを発射させない』ために、外交努力をぎりぎりまで尽くすことが政府の使命だろう。……首相が、やるならやってみろと言わんばかりの姿勢をとるのは、突出しすぎだ。共産党の志位和夫委員長が『外交努力をやらないまま軍事で身構えるのは、外交的解決を台無しにする』と批判したのも当然だ。……政局的思惑から離れ、冷静な議論を求めたい」

 これは冷静な論評だと思います。政府に対し、「政局的思惑」を強く戒めているのも、まったく同感であります。

冷静で道理に立った外交の力こそいま強く求められている

 北朝鮮は、過去の国際的な無法行為を清算していないという問題点をもっている国です。だからこそいっそう日本は、冷静で道理ある立場を、厳格につらぬく必要があることを、とくに強調しなければなりません。そうした立場を欠いた、やみくもな制裁強化論や軍事対応論は、日本のよって立つ立場を失わせ、事態を悪化させるだけでしょう。

 日本共産党は、北朝鮮の核兵器開発を終わらせ、この地域の平和と安定をはかるために、冷静で道理に立った外交の力こそいま強く求められていることを訴えるものです。(「そうだ」の声、大きな拍手)



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