2009年4月11日(土)「しんぶん赤旗」

金融新秩序へ途上国結束

連帯強めた第2回南米アラブ首脳会議


 【カイロ=松本眞志】三月三十一日にカタールの首都ドーハで開催された第二回南米アラブ首脳会議(サミット)は、ラテンアメリカ諸国とアラブ諸国の交流と連帯の新たな発展を示しました。

 アラブ圏の人口は三億八千三百万人で南米諸国は三億三千八百万人と規模はほぼ同じ。植民地支配や米国の軍事的・経済的干渉を受けてきた歴史、サウジアラビアとベネズエラが世界有数の石油輸出国であることなど、大西洋をはさむ両地域には共通点があります。

貿易額が急増

 二つの地域の経済交流の発展はこの数年、著しいものがあります。カタールのファハド・ビジネス通商相は、会議直前の財界人との会合で、「二〇〇五年、百四十億ドル(約一兆四千億円)だった貿易額は、〇八年には五割増の二百十億ドル(二兆一千億円)に達した。実際にはもっと多いかもしれない」と語りました。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラは「貿易額は三倍化した」と報じています。

 〇五年にブラジルのルラ大統領の提唱で開催された第一回会議では、世界経済の民主的変革や「南南協力推進」など開発途上国が抱える問題の解決を呼びかけ、両地域の交流と共同が始まりました。両地域に深刻な影響を及ぼした米国発の国際金融危機の問題では、解決に向けた共同と結束がいっそう強まりました。

 地元紙ガルフ・タイムズが一面で「サミットは新たな国際金融秩序を要求した」と報じるなど、会議では国際金融危機への対策が重視されました。会議で採択された「ドーハ宣言」は、「金融投機を防止し、金融市場での適切な規制措置を考慮した国際的な金融システムの設置が必要」と強調。発達した資本主義国に対しては、「開発途上国、特に金融危機で深刻な影響を受けている貧困国の支援とこれらの国の主権と経済的独立を尊重することは重要」と指摘し、欧米諸国や日本などの責務を明らかにしています。

平和でも共同

 両地域の共同は経済問題に限りません。中東和平問題では、パレスチナ住民との連帯を表明するラテン・アメリカ諸国首脳の発言が相次ぎました。

 チリのバチェレ大統領は「民主主義と人権の尊重なしに発展はない」と述べ、「東エルサレムを首都とする自由で独立したパレスチナ国家を支持する」と発言。ブラジルのルラ大統領も「イスラエルが過去の合意と中東包括和平構想(アラブ和平案)を基礎に和平に踏み出すことは重要だ」と述べました。ベネズエラのチャベス大統領は、国際刑事裁判所がスーダン大統領に逮捕状を発行したことに言及し、パレスチナ住民を抑圧するイスラエル指導部の犯罪を不問にしているとして国際社会の公正な対応を求めました。

 南米諸国首脳の中東和平問題での立ち入った発言の背景には、イスラエルが昨年末から今年初めにかけて実施したガザ地区攻撃があります。今年一月にベネズエラとボリビアは相次いでイスラエル政府を非難し、イスラエルとの外交関係を断絶しました。

 これらの行為はアラブ世界やパレスチナ自治政府に歓迎され、アッバス議長はベネズエラに連絡事務所を設置する意向を示しました。



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