2009年4月15日(水)「しんぶん赤旗」

「海賊対処」派兵新法案にたいする

赤嶺議員の質問(要旨)


 日本共産党の赤嶺政賢議員が十四日の衆院本会議で行った「海賊対処」派兵新法案にたいする質問(要旨)は次の通りです。


 政府は「海賊対処の根拠法が必要だ」として本法案を提出しながら、すでに海上自衛隊の護衛艦二隻をソマリア沖に派遣しています。明確な法的根拠もなく、なぜ実力部隊を海外に派遣できるのですか。派遣前にはできないとしてきた外国船舶の護衛活動に踏み出しています。これほど国会と国民を愚弄(ぐろう)し、憲法を蹂躙(じゅうりん)するものはありません。

 政府は自衛隊派遣の根拠を「海上警備行動」と説明しています。しかし、「海上警備行動」は、わが国領海・その周辺で、海上保安庁では対応できない事態を想定したものだと歴代政府は説明してきました。ソマリア沖まで派遣できると、いつから政府見解を変更したのですか。

 海賊行為は、国際的な犯罪であり、許されることではありません。ソマリア沖の海賊は、現地・周辺国の警察活動を基本に、国際的な連携・協力で対処すべき問題です。日本は、東南アジアで行ってきたように地域協力の枠組みづくりや、ソマリアと周辺国の海上警察力を強化するための技術援助・財政援助を行うべきです。

 ソマリアでは、一九九一年にバーレ政権が崩壊し、内戦状態に陥って以降、国連PKO初の平和執行部隊の派遣、「対テロ戦争」の名による米軍の空爆と軍事介入などが行われてきました。外国漁船による違法操業、有毒廃棄物の不法投棄が横行し、元漁民を海賊行為に走らせたと言われています。

 政府は、私の質問に、「ソマリア領海内における違法操業や有害物質の不法投棄に対抗するための地元漁民による自衛手段という側面があった」「米国は空爆等も行っている」と答弁していますが、これまで問題にどう取り組み、どう対応しようとしていますか。

 政府は、海上自衛隊補給艦をインド洋に派遣し、米軍艦船に給油支援を行ってきました。自衛隊は、ソマリア空爆を行う米軍の軍事行動を支援してきたのではありませんか。ソマリアの内戦と貧困という「陸」の問題が解決しない限り、海賊という「海」の問題も解決しないことは国際社会の共通認識です。

 ソマリアでは昨年八月、暫定連邦政府とソマリア再解放連盟の穏健派グループが武力行使の停止などで合意し、内戦終結と国民的和解に向けた努力が続けられています。憲法九条をもつ日本は、和平を後押しする外交努力と民生支援で積極的役割を果たすべきです。

 法案は、国連海洋法条約に則して、海上保安庁が国籍を問わず海賊行為を処罰し対処するとしていますが、核心は、自衛隊に「海賊対処行動」という新たな海外任務を与えることです。第七条は「特別の必要がある場合」に自衛隊の派遣を命令できるとしていますが、どういう場合ですか。派遣規模、地理的範囲に限定はあるのですか。政府の一存で、世界の海に派遣できるのではありませんか。

 武器使用規定も重大です。政府は九〇年代以降、自衛隊の海外派遣を行ってきましたが、武器使用は「隊員の生命・身体の防護」が原則だとしてきました。今回、「海賊対処」という「任務遂行のための武器使用」にふみだしています。抵抗・逃亡する海賊への危害射撃、海賊行為を制止するための船体射撃まで規定しています。自衛隊が戦後初めて、海外で人を殺傷する事態を引き起こしかねないのではありませんか。

 政府は、ソマリア隣国のジブチと自衛隊駐留のための地位協定を締結しました。P3C哨戒機などの航空部隊を現地に派遣するためといいますが、P3Cが入手した情報は、米軍にも提供するのではありませんか。

 「海賊対処」を口実に、自衛隊の海外での武力行使、海外派兵恒久法に道を開く本法案は、きっぱり廃案にするよう求めます。

【Movie】「海賊対処」法案に対する赤嶺議員の質問(09.4.14)



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