2009年4月15日(水)「しんぶん赤旗」
新検定制度 撤回せよ
「愛国心」の強制批判
教科書ネットなど文科省に申し入れ
文部科学省が教科書への統制を強める方向で検定制度を改悪し、今年度から実施しようとしている問題で、子どもと教科書全国ネット21など五団体は十四日、文部科学省に対し新制度の撤回を求める申し入れをしました。
文科省は、昨年十二月に教科書検定審議会が出した報告にもとづき、今年度から新しい検定基準と検定規則のもとで検定を実施するとしています。
各団体代表は新制度の実施強行に抗議し、白紙撤回を求める塩谷立文科相あての文書を提出。新制度は改悪された教育基本法などが示す「愛国心」「道徳心」をすべての教科書に盛り込むことを強制する一方で、検定過程の透明化には実質的な前進がなく、むしろ密室化を強化するものになっていると問題点を指摘しました。
教科書ネットの俵義文事務局長は、「改定された検定基準や検定規則を見て暗たんたる気持ちになった。国民が求めていたような改善はなく、文科省に都合のいいようにしか変えられていない」と批判。
出版労連教科書対策部の吉田典裕事務局長は、新制度では、「愛国心」などを目標に定めた教育基本法第二条の五つの項目と教科書の内容との対照表の提出が必要になることにふれ、「改悪教育基本法に強く教科書を従属させるものだ」とのべました。
文科省側は、五項目すべてについて対照表に書かなければ受け付けないわけではないと答えました。
申し入れたのはほかに大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会、大江・岩波沖縄戦裁判支援連絡会、沖縄戦の歴史歪曲(わいきょく)を許さず沖縄から平和教育をすすめる会。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員、社民党の山内徳信参院議員が同席しました。
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