2009年4月16日(木)「しんぶん赤旗」
厚生年金
給付水準50%割れ
厚労省 現行納付率で再試算
国民年金保険料の納付率が現状の65%程度で推移した場合、厚生年金の将来の給付水準(所得代替率)が現役世代の平均手取り収入の49・2―49・35%に落ち込み、自公政権が公約としている50%を割り込むとの厚生労働省試算が、十五日までに明らかになりました。
同省は、二月に公表した公的年金の財政検証では、今後およそ百年にわたり50%台を維持できると試算。今後の出生率や経済状況などを考慮した「基本ケース」で、給付水準は現在の62・3%から徐々に低下するものの、二〇三八年度以降は50・1%で固定されるとしていました。
しかし、同試算は保険料納付率が80%であることを前提としています。納付率は〇七年度は63・9%です。
新たな試算では、保険料納付率が1%減少するごとに、所得代替率は0・05―0・06%程度減少する見通しだとしています。他の前提がそのままでも、納付率が78%以下なら50%を割り込むことになります。
解説
また崩れた「百年安心」
厚生年金の給付水準にかかわる厚生労働省の新たな試算は、「百年安心の年金」という自公政権の公約が、まったくのごまかしであったことを、改めて浮き彫りにしました。
国民年金保険料の納付率が厚生年金の給付に影響するのは、どちらにも共通する基礎年金部分があるためです。保険料の納付率が下がると、年金の積立金残高が減り、利子収入が減少するなど年金財政が悪化するため、給付水準にも響いてきます。
ところが、同省は二月公表の試算で、不当に高い納付率を前提に計算していました。
二〇〇四年の年金改悪の際、自公政権は、保険料を十三年間、毎年引き上げる代わりに、将来の厚生年金の給付水準を現役世代の平均手取り収入の50%以上確保すると公約しました。保険料の負担増は今後も続くが、給付水準は守られない―国民の怒りがますます広がるのは必至です。(坂井希)
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