2009年4月17日(金)「しんぶん赤旗」

この日本をどうするのか

BSフジ番組 志位委員長語る


 日本共産党の志位和夫委員長は十五日夜、この四月一日にスタートしたばかりの報道番組「BSフジ LIVE PRIME NEWS」に生出演しました。「この日本をどうするのか」と題し、「派遣切り」問題を中心に、司会のフジテレビ報道局政治部の反町理氏と元同テレビアナウンサーの八木亜希子氏、解説役の山本周・同テレビ報道局次長、中野晃一・上智大学国際教養学部准教授と語り合いました。


 「いまや『派遣切り』の“駆け込み寺”といわれる日本共産党。各党と常に一線を画す日本共産党は日本をどう変えるというのか」

 番組では、こんなナレーションが流れた後、日本共産党員がこの一年半、毎月千人前後増え続けていることが話題になりました。

 志位氏は、最近の入党者の中には、インターネットで初めて共産党を知ったり、自ら党の事務所を訪問してくるなど、“党のドアをノック”してくれる人も少なくないと紹介。同時に、党員拡大ではようやく“離陸”したばかりであり、さらに前進できるよう力を尽くすと抱負を語りました。

雇用を守ることこそ、景気回復の土台

 これをうけ、テーマは最大の政治課題の一つ、いわゆる「派遣切り」問題への対応に。志位氏は、現在の「派遣切り」の多くが、派遣労働の期間制限の上限である三年を超え、本来なら正社員にすべき労働者にたいするもので、現行法でも許されないと強調しました。そして、前日に舛添要一厚生労働相にたいし、労働局が直接雇用の責任を企業に果たさせる指導をしっかり行うように申し入れたことも紹介し、「泣き寝入りせずに、私たちも大いに一緒に頑張りますので、労働局に申請にいき、仲間とともに立ち上がろう」と呼びかけました。

 山本氏は、「政府・自民党側は、民主党も同じ考えかもしれませんが、景気をよくすることで雇用問題を解決していこうという考え方ですが」と質問。こんなやりとりになりました。

 志位 私はやっぱり、雇用を維持することで景気悪化を食い止めることが大事だと思います。景気悪化のもとで、世界的な大企業がわれもわれもとクビを切り始めると、みんなが明日はわが身かということになっていきます。そこから景気が冷え込んでいく。

 政府の統計を見ても、まず外需が落ち込み、それが内需の落ち込みに連動しています。どこで一番連動しているかというと、雇用の悪化で連動しているのです。企業が内部留保の一部を取り崩せば、雇用を維持できるわけですから、雇用を維持する努力をやる、つまりクビを切らせないことが景気をよくしていく土台になっていくと思います。(政府・与党の経済対策のように)クビ切りを放置しながら、いろいろ対応しても、出血しているところに輸血しているようなものです。

 反町 共産党の話は雇用を守るということに軸が置かれているようで、景気刺激策、経済活動を活発にさせるアイデアがあまりうかがえないような気がするのですが。

 志位 クビ切りをしたら、その瞬間は企業の財務状況はよくなるでしょう。しかし、中長期で見たら、一番大事な人材をみんな失っていくことになる。逆に、苦しくても雇用を維持したら、その人を使ってその企業は新しいビジネスを始めることになり、それをやるのが経営者の仕事だと思います。ですから、雇用を維持するのは、決して消極的な問題ではなく、雇用をしっかり維持して、人間を大事にしてこそ、新しいビジネスが生まれるし、そこから企業の発展も、経済の発展も生まれると思います。

 志位氏の指摘について、中野氏も、「ものづくりが日本にとって大事だといいながら、今回、こういったことで(労働者を)バサッと切ってしまうことでそういったものが維持できない。人をモノとしてあつかってきた結果、どんどん日本社会全体の地盤沈下がおきかねない」「共産党と意見が違う立場からであっても、日本の国力を考えた場合、これでいいのかという、企業が栄えても国が滅んだら元も子もないというところがやはりあると思う」と語りました。

原則的な対応が柔軟な選択肢をつくる

 話題は「日本共産党の政権構想」に移り、とくに、民主党との連立の是非について質問が集中しました。

 志位氏は、自民党はもちろん、民主党とも、軍事同盟、憲法、消費税など国の根本で立場が違うことから政権協力する条件はないと表明。同時に、労働者派遣法の抜本改正、後期高齢者医療制度撤廃、農産物の価格保障や所得補償の実現など、個別の政策課題をどんどん提起し、一致できる政党と協力すること、それを第一歩にして、いずれは、本当に「国民が主人公」の政治を実現する民主的政権に参加する立場を表明しました。

 中野氏からは「(共産党の方から)もっと仕掛けてもいいのではないか」と、他党との「妥協」「柔軟性」を求める声があがりました。志位はこう答えました。

 志位 いろんな選択肢を私たちは持っていきたいと思いますが、原則というのが大事で、原則を曲げて離合集散をやってきた結果が、細川連立政権以来のこの十六年の日本の政治だったのではないかと思うのです。その時々に問われるいろいろな政治の「決定的場面」があります。派遣労働でいえば、一九九九年に原則自由化をおこなったのが(「派遣切り」の)大本だと思っていますが、この時に反対したのは共産党だけでした。それが十年たってみると、その値打ちというか、意味がはっきり出てきますね。そういう、いろいろな局面で大事な原則的な対応をやっていくことが、将来、柔軟な選択肢というか、それをつくる土台にもなると思います。ですから、ここで党の基本を曲げて、そういう離合集散に入ってしまったら、結局、長い目でみて先がなくなると私は思っています。

熟柿が落ちるように

 番組の最後に、八木氏から「日本を変えるための提言」を求められた志位氏は、自筆で“大本から変える”と書いたボードを掲げました。

 志位氏は、いまの日本の政治では、戦後六十年の枠組み自体が問題になっていると強調。経済では、同じ資本主義国の中でも、あまりに国民の暮らしを守るルールがない「ルールなき資本主義」から、労働でも社会保障でも、せめてヨーロッパ並みの「ルールある経済社会」をつくること、外交では、軍事でも経済でもアメリカ支配の終えんが始まっているのに、とくにその悪い面にどこまでもつき従うやり方をやめ、日米安保条約に代えて日米友好条約を結ぶ意義を力説しました。

 視聴者からは「本当に共産社会が実現できると思いますか」との質問が。志位氏は、「いま、資本主義自体がやっていけるのかという問いかけが世界で生まれているところが大事です」とのべ、「まず資本主義の枠内でギリギリまで『ルールある経済社会』をつくって、矛盾を解決するような努力をやります。しかし、それでもなお、恐慌、失業、環境、投機マネーなどの問題を解決できるかというと、資本主義の枠組みの中では解決できないということが、やっていくなかでわかってくると思います。『熟柿が落ちる』といいますが、そういう努力をする中で、資本主義を乗り越えた次の社会に進む展望が開かれると思います」と結びました。



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