2009年4月24日(金)「しんぶん赤旗」

「憲法審査会規程案」についての

佐々木議員の反対意見

衆院議運委


 日本共産党の佐々木憲昭議員が二十三日の衆院議院運営委員会で表明した「憲法審査会規程案」についての動議への反対意見は次の通りです。


 いま国民は憲法改正を求めていません。従って改憲手続きを整備する必要はまったくありません。改正国会法には、憲法審査会は、改憲を目的とした憲法の調査を行い、「憲法改正原案」を提出し審査する機関であると定めています。三年間施行が凍結されていた国民投票法(改憲手続き法)の解除が一年後に迫っています。

 このもとで、与党が審査会を一刻でも早く始動させ、改憲原案づくりに着手したことは、国民投票法施行後には、改憲原案の国会提出がいつでもできるしくみをつくりあげることを狙ったもので、断じて容認できません。

 提案者は、改憲手続き法が成立して二年たつのに憲法審査会が発足していないことを問題だといいますが、改憲手続き法は、当時の安倍政権のもとで自民党などが目指す九条改憲の政治スケジュールにそって、強行成立させられたものです。慎重審議を求める国民の声を無視し、審議も不十分なまま、数の力で強行採決を行い、憲政史上に重大な汚点を残したものです。

 その内容は、国の最高法規である憲法の改正は主権者である国民の意思が最大限にくみつくされることが不可欠であるにもかかわらず、投票率がどんなに低くても国民投票が成立し、有権者の二割台の賛成でも改憲案が通るしくみとなっているなど改憲推進勢力に都合よくできています。こうした安倍政権に対して、国民は二〇〇七年参院選で「改憲ノー」の審判を下しました。

 このような法律に定められた「審査会規程」が未整備であることを問題にするのなら、むしろ、手続き法そのものを廃止すべきです。

 二年前、安倍総理は、「時代にそぐわない条文の典型は九条である」と公言しました。改憲手続きの整備を主張する側の、一貫した狙いが、憲法九条を変えて、日本を海外で戦争をする国につくりかえようという点にあることは明白です。

 しかし、どの世論調査をみても、憲法九条を変えよという声は少数であり、九条を守れという声が多数です。

 自民党などの改憲勢力は、九条改憲を主張し、イラク、インド洋などに米軍戦争支援の自衛隊派兵を次々行い、いま「海賊対処」を口実に新たな海外派兵をすすめています。九条違反の実態を積み重ねていることは許しがたいことです。

 憲法上、看過できない重大問題が発生していることに注意をむけるべきです。拡大する貧困のもとで、憲法二五条の生存権が保障されない人々が急増しています。政治に求められているのは、貧困と格差の拡大に対して、すべての人々が健康で文化的な生活ができるようにすることです。

 憲法を変えるのではなく、九条、二五条をはじめ平和と人権の保障を目指す日本国憲法を生かすことこそ求められています。



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