2009年4月24日(金)「しんぶん赤旗」
米、風力発電2割に
2030年目標
エネルギー政策転換
大統領「繁栄か衰退かの選択」
【ワシントン=西村央】オバマ米大統領は二十二日、中西部アイオワ州のニュートンにある風力発電所を視察し、同地で演説しました。この中で、再生可能エネルギー分野で米国が世界をリードしなければならないと表明し、二〇三〇年までに発電の二割を風力で賄うようにするとの目標を掲げました。同時に、五〇年までに温室効果ガスの80%削減(〇五年比)をめざす決意を示しました。
同大統領は演説で「今われわれが直面している選択は環境を救うのか、経済を救うのかではなく、繁栄か衰退かの選択である」と述べ、エネルギー問題が将来にかかわる重要課題であると指摘。さらに、「クリーンエネルギーの新たな資源の開発で世界をリードする国が二十一世紀の地球規模の経済をリードする」として、米国が石油依存から再生可能エネルギーへの転換で主導性を発揮する意義を強調しました。
米連邦下院では同日、包括的な温室効果ガス削減法案が審議入りしました。同法案は、温暖化の原因となる温室効果ガスを〇五年比で▽二〇年までに20%削減▽五〇年までに83%削減―をめざすとしています。
また温室効果ガス排出量取引に石油会社や電力会社が参加する仕組みを導入し、電力供給全体に占める風力や太陽光など再生可能エネルギーの割合を二五年までに25%に引き上げることなどを盛り込んでいます。
この日のオバマ演説は、こうした議会動向も念頭に置いたもの。▽風力のほか、波や潮力を利用した発電▽排出量削減のための国内工場の改良や近代化▽ガソリンに依存しない次世代の車の開発―などをあげ、クリーンエネルギー創出による新たな雇用増大もめざしています。次世代エネルギー技術での投資では今後十年間に千五百億ドル(約十五兆円)と見込んでいます。
■関連キーワード