2009年4月28日(火)「しんぶん赤旗」
第2回 職場問題学習・交流講座への報告
幹部会委員長 志位 和夫
25、26の両日に開かれた日本共産党の第2回「職場問題学習・交流講座」で志位和夫委員長がおこなった報告とまとめは、次の通りです。
はじめに――この「講座」の主題について
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全国から集まられたみなさん、こんにちは。私は、第2回「職場問題学習・交流講座」に対する報告をおこないます。
2006年4月に第1回「職場講座」をおこなってからちょうど3年がたちました。この間、私たちは、第1回「講座」の方針にそくして、教育基本法改悪に反対するたたかい、非正規雇用の現状打開のたたかい、大企業による雇用破壊とのたたかいなど、国民的闘争を連続してたたかってきました。
この3年間の全党のたたかいをふまえ、第2回「職場講座」は、つぎの二つの点を目的にすすめたいと思います。
一つは、大企業による雇用破壊とのたたかいの到達点と発展方向を明らかにすることであります。
二つは、第1回「講座」後の職場支部の活動の教訓を明らかにし、総選挙・都議選勝利めざして職場支部が総決起する意思統一をおこなうことであります。
内外情勢論と選挙勝利をめざす党活動の方針の基本は、3月の幹部会決定で示されています。報告は、それを前提にして、労働と職場の問題に焦点をあてておこないます。
一、雇用問題をめぐる情勢の特徴と、日本共産党の役割
報告の第一の主題として、雇用問題をめぐる情勢の特徴と、日本共産党の役割について、のべます。
雇用破壊が日本の前途を危うくする一大社会問題に
まず大企業による雇用破壊の現状についてであります。
この間、経済危機のもとで、世界に名だたる大企業が競い合って雇用破壊をすすめてきました。昨年秋以降、急速に強行された「非正規切り」によって、数十万人という規模で労働者の職が奪われています。それは厚生労働省の調査でも6月末までに19万2千人、業界団体の調査では3月末までに40万人にも及んでいます。低賃金で働かされ、蓄えもなく、住居ももたない「働く貧困層」を襲った大量解雇は、大量のホームレスをつくりだしています。
「非正規切り」と連動して、正規労働者にも、かつてないリストラ攻撃が加えられています。多くの大企業で、生産調整・操業短縮による深夜・交代手当の抑制、残業抑制などによって人件費の大幅削減が強行され、労働者の手取り賃金が一気に年間100万円以上も下がるという事態が生まれています。さらに、少なくない大企業で、強制配転や出向、嫌がらせなどによって、無法な退職強要がすすめられ、雇用破壊の波は正規労働者にも及びつつあります。女性労働者が、育児休業、妊娠・出産などを理由に、狙い撃ち的に解雇されていることも重大であります。
大企業による下請け中小零細企業への一方的な発注中止、単価の大幅切り下げ、一方的な契約変更など「下請け切り」が横行し、雇用を維持するためにぎりぎりの努力をおこなっている中小零細企業の経営に重大な打撃を与え、倒産と失業を激増させています。
こうして大企業による雇用破壊は、労働者の命と生活を根底から脅かすとともに、景気悪化との悪循環をつくりだし、日本経済、日本社会の前途をも危うくする、一大社会問題となっています。
民間大企業とともに、公務員、教職員のなかにも、非正規雇用労働者が広がり、その多くが「働く貧困層」としてきわめて劣悪な労働条件のもとに置かれ、解雇の不安にさらされ、未来に展望が持てない状態に置かれていることも重大です。住民サービスや、子どもたちの健全な成長を考えても、これも日本社会の大問題といわなければなりません。
大企業の職場支配を土台から崩壊させる矛盾が一気に噴出している
こうした大企業による雇用破壊は、労働者にとっては耐えがたい苦難の押し付けですが、それは同時に、大企業による職場支配を土台から崩壊させる矛盾を一気に広げるものとなっています。矛盾の劇的拡大という視点から現状をとらえることが大切です。そうしてこそ大局的な展望も見えてきます。
第1回「職場講座」は、労働者の状態悪化を、「非正規雇用労働者の急増」、「成果主義賃金を根源にした深刻な状態悪化」の両面から告発するとともに、これらが「財界・大企業の職場支配をみずから掘り崩す深刻な矛盾をつくりだしている」ことを明らかにしました。この間の大規模な雇用破壊によって、「財界・大企業の職場支配を自ら土台から掘り崩す深刻な矛盾」が一気に拡大し、その矛盾が劇的な形で噴き出しています。
「非正規切り」は、あいつぐ労働法制の規制緩和と正社員の非正規労働者への置き換えの目的が、財界のいうように「労働者のニーズ」とか、「新しい雇用の創出」とか、そういうところにあるのではまったくなく、いつでも「使い捨て自由」の労働者をつくりだし、景気悪化の際には真っ先に切り捨てる「調整弁」をつくるという、財界・大企業の果てしないコストダウン、あくなき利潤追求の産物であることを、最も残酷な形で示すものとなりました。
また、人間をモノのように「使い捨て」にする非正規労働という支配体制が、違法・無法を土台にしていることが、次つぎと明らかになりました。偽装請負、期間制限違反、違法な「クーリング」、短期・細切れ契約の反復、契約中途での解雇など、現代の奴隷労働ともいうべき派遣労働・非正規労働が、恐るべき無法労働とされていること、いま、おこなわれている雇用破壊そのものが無法行為であること、そして、それを主導しているのが、トヨタ、キヤノンをはじめ世界に名だたる大企業であることは、絶対に許すことができない大問題であるといわなければなりません。
正規労働者に対する職場支配も深刻な矛盾と破たんに直面しています。企業業績が好調なもとでは、残業収入、一時金への業績反映などによって、総額人件費の抑制という成果主義の素顔がごまかされてきました。しかし、いま「非正規切り」と連動して、正規労働者の労働条件の悪化が急速に進み、深刻な雇用不安にさらされるもとで、このごまかしがすべてはがれ落ちました。
「『会社がもうかれば、社員の賃金は上がる。成果主義の導入で賃金は上がる』と説明され、深夜まで残業、休日出勤と骨身を削って働いてきた。ところが今では大幅賃下げのうえ、“明日は我が身”の首切りの不安にさらされている」。これが多くの労働者の声であります。
さらに成果主義は、恣意(しい)的な評価にもとづいて評価の低い人から首を切るというIBMでの退職強要にみられるように、無法な首切りのテコであることが明らかになっています。成果主義という職場支配も、根本から崩壊しつつあるのであります。
労働者が立ち上がった――日本社会の姿形を変えるたたかい
この間の情勢の進展で何よりも重要なのは、こうした雇用破壊に反対して、労働者が連帯して立ちあがりつつあることであります。
全労連の積極的なイニシアチブによって、労働組合への新たな結集が大きく前進しています。昨年秋からのたたかいのなかで労働組合の新規結成が110労組、既存組合への加入が125組合、結集した労働者は合計で5千人を超えています。大企業の職場での非正規労働者を中心に、これだけ短期間に、これほどの労働組合が結成され、労働者が加入したことは、終戦直後の一時期をのぞいてかつてなかった、歴史的な出来事であります。
組織化の主体として、JMIU(全日本金属情報機器労働組合)や全国一般、建交労などの産別組合とともに、個人加盟の地域ユニオンや青年ユニオンが力を発揮しています。公務員労働者のなかでも、「官製ワーキングプア」が問題となっている非正規労働者などが職員の3割まで広がるなかで、これらの労働者を自治労連傘下の個人加盟労組が組織しており、その数はこの2年間で数千人にのぼっています。
私は、この間、新たにたたかいに立ちあがった多くの労働者にお会いし、決意を聞く機会がありました。彼らや彼女らがたたかいに立ちあがるまでには、悩みも葛藤(かっとう)もあり、たいへんな勇気も必要だったと思います。しかし、やむにやまれぬ思いで、自らにおこった問題を、自分個人の問題としてだけでなく、こうした企業悪を許してはならないという社会の問題として、また自分と同じような犠牲者を二度と出したくないという働く仲間の問題として、立ちあがったという、たくさんの決意を聞きました。ある労働者は、私に、「次の世代に違法と無法を残さないために、ここで頑張る」という決意を語ってくれました。そして、私は、たたかいに立ちあがっている労働者の多くが、「モノづくりが好きです。働くことが好きです」と、モノづくりへの誇りを語り、仕事への誇りを語っていたことに、胸が熱くなりました。強い感動と感銘を受けました。
わが党は、労働者として、まじめに懸命に働き、不当な解雇に出あっても泣き寝入りをせずに、勇気をもって立ちあがった全国の仲間たちに、心からの敬意をのべるとともに、最後までともに連帯してたたかいぬく決意を表明するものです。
失業した労働者を支援する社会的連帯が広がったことも、日本社会の希望を示すものであります。東京・日比谷公園での「年越し派遣村」は、労働者の命をつなぐとともに、それまでばらばらで見えなかった貧困を社会に見える形で明らかにし、日本社会に大きな衝撃をあたえ、政府を動かす力を発揮しました。その後も、全国各地で、労働団体、市民団体が中心になって、労働者を支援する人間的連帯の輪が広がっていることは重要であります。
日本共産党は、労働者のたたかいに連帯し、雇用破壊とのたたかいに可能なあらゆる手段を使ってとりくんできました。国会議員団があげてこの問題にとりくむとともに、日本経団連やトヨタ、キヤノン、いすゞなどの大企業との直接会談をおこない、雇用への社会的責任を果たすことを強く求めてきました。「しんぶん赤旗」は、一貫して雇用破壊の実態を告発し、たたかいを激励するキャンペーンをはってきました。
中央委員会と一体に、都道府県委員会、地区委員会、地方議員団も、労働局、労働基準監督署、ハローワークなどへの申し入れ・懇談、自治体への申し入れ・懇談にとりくみ、当局から「共産党は良い質問をしてくれた」など、共感と歓迎の声が寄せられた経験も少なくありません。地方党機関による企業・団体への申し入れは、全国で7千件を超え、党の直接の申し入れの結果、解雇を撤回させるなどの経験も各地で生まれています。
こうした労働者・国民と日本共産党との連帯したたたかいによって、大企業の横暴勝手が社会的に批判され、社会的に包囲されるという状況がつくられつつあることは重要であります。「巨額の内部留保を積み立て、株主配当を続けながら、働く人々の首切りとは許せない」――この声が日本社会で、この間、大きく広がりました。
いま立ちあがりつつある労働者のたたかいは、初めの一歩は小さく、また、立ちあがった人はまだ少数でも、これは日本に人間が人間らしく働ける労働のルールを打ち立てるという、大きな社会変革につながるたたかいです。立ちあがった労働者が切り開こうとしている道は、人間らしい労働のルールへとつながる道であります。それはまた、不当な攻撃にたいしては、国民が強力な社会的反撃をもってこたえる社会へと、日本社会の姿形を根本から変えることにつながる、大いなる未来あるたたかいであります。ここに確信をもって、ともに力をつくそうではありませんか。
日本の経済社会のあり方を根本から問う――「ルールある経済社会」への改革
雇用破壊とのたたかいは、日本の経済社会のあり方を根本から問うことにもなりました。世界経済危機のもとで、日本では、「ルールなき資本主義」の害悪が、あらゆる分野で深刻な形で現れていますが、雇用問題はその最大の焦点の一つです。雇用問題を通して、日本の資本主義のこの異常な特質に光があてられる状況が生まれました。そして、その解決方向として、わが党綱領が示している「ルールある経済社会」への改革の展望が、広く社会の共感を呼ぶ新しい状況が生まれています。
さらに、財界・大企業による異常な搾取・収奪の現実が誰の目にも見える姿をとるもとで、私たちの大先輩であるマルクスへの新たな関心が広がっていることも、注目すべきことであります。私自身、メディアのインタビューで、マルクスが『資本論』に書き記した「大洪水よ、わが亡き後に来たれ!」という資本のスローガン――自らの利潤追求のためならば「後は野となれ山となれ」、労働者の健康も寿命も、どんなものでも犠牲にしてはばからないという資本の本性が、現代の奴隷労働ともいうべき派遣労働にもくっきりと現れているということを、語る機会が何度かありました。
『資本論』では、資本の蓄積のもとで、「産業予備軍」という形で、不規則な就業のもとにおかれている労働者がつくりだされることが、労資の力関係を資本家にとって有利にする方向に作用し、その圧力が労働者を資本の支配と貧困に縛りつける「楔(くさび)」の役割を果たすとのべていますが、それは現代の非正規雇用労働者と正規労働者との関係にもそっくりあてはまります。
私たちは、この間、内外のメディアで、「派遣労働、『ルールある経済社会』、マルクス」というようなテーマを、ひとつながりのテーマとして語ることが多かったわけですが、雇用問題は、日本の経済社会のあり方を問い、その改革の方途としての綱領路線の生命力を明らかにし、さらに科学的社会主義の立場を広げるうえでも、最も重要なテーマの一つとなっています。
雇用問題――この総選挙の重大争点で日本共産党の存在意義がきわだつ
目前に迫った総選挙でも、雇用問題は、景気対策、社会保障、中小企業と農林水産業、税制と財源、外交問題などとともに、重要な政治的争点の一つとなるでしょう。
この問題で、労働者の苦難に心を寄せ、その軽減のために献身する党、労働者のたたかいに一貫して連帯して奮闘する党、財界・大企業の横暴に正面からモノが言える党、「ルールある経済社会」という問題解決の根本的方途を示す党、そして、科学的社会主義の立場からこの問題の根底にある資本主義の矛盾、それを乗り越える展望を示す党として、日本共産党の存在意義は大きなものがあります。
それは、政府・与党、自民、民主の「二大政党」が、雇用問題においても、財界・大企業に対して正面から雇用破壊をやめよと求めることができず、その横暴とたたかう姿勢がないこととの対比でいっそう際立っています。
二、雇用破壊とのたたかいの発展方向について
報告の第二の主題として、雇用破壊とのたたかいの発展方向についてのべます。
雇用破壊とのたたかいは、始まったばかりです。さらにたたかいを広げ、一つひとつのたたかいで勝利をかちとり、継続的な運動としていかに発展させるか。これからがたいへん重要となってきます。私は、たたかいの今後の発展方向として4点をのべたいと思います。
雇用破壊に反対するあらゆるたたかいに連帯し、勝利するために力をつくす
第一は、何よりもまず、現にとりくまれているたたかいに勝利するために、あらゆる力をそそぐことです。すなわち、「非正規切り」など雇用破壊に反対し、直接雇用・正社員化をめざす、一つひとつのたたかいに固く連帯し、勝利するためにあらゆる知恵と力をつくすことであります。
全国の労働者のたたかいによって、この間、重要な成果が獲得されています。「契約期間中途の解雇」については、期間労働者はもとより、派遣労働者であっても、原則として無効であることは、この間のたたかいで明確にされ、多くの成果をかちとっています。この問題では、政府・厚生労働省にも「派遣切り防止」の通達をださせ、「やむを得ない事由」がある場合以外の「中途解雇は違法」ということは明瞭(めいりょう)にされました。
「期間満了での雇い止め」についても、労働局の是正指導などを力に、派遣先に直接雇用の責任を果たさせた経験が生まれ始めていることは、重要であります。同時に、まだそれは部分にとどまっています。労働局に「派遣切り」「雇い止め」の是正を求める申告は、全国で70事業所289人にのぼっており、前向きの対応をおこなった労働局も生まれていますが、それはまだごく一部にとどまり、まともな対応の姿勢が見られない労働局も少なくありません。わが党は、厚生労働大臣にたいして、労働局への申告について、労働者の権利を守る立場で、労働局が速やかに対応するよう申し入れ、大臣もそれを約束しました。「きちんと仕事を果たしていない労働局があれば、個別に提起してください。個々に対応します」ということを大臣に約束させています。労働局に、法令順守と労働者の権利擁護という本来の責任を果たさせるために、国会議員団と全国でのたたかいが連携して、ひきつづき力をつくしていきたいと思います。
わが党が国会質問で明らかにしたように、いま「派遣切り」にあっている労働者の多数は、派遣期間制限の3年を超えて「同一業務」で派遣として働き、本来は解雇どころか正社員になる当然の権利をもつ労働者であります。「期間工切り」にあっている労働者も、短期契約の反復の上での解雇など、違法な解雇権の乱用にあたる場合が多数であります。正社員についても、いま各地の大企業ですすめられている退職強要は違法行為であり、「整理解雇の4要件」を無視した解雇権の乱用は許されるものではありません。現行法でも雇用破壊を食い止める道は存在することを、広く知らせ、たたかいを発展させていくことはひきつづき重要であります。
いまたたかいに立ちあがっている労働者は、団体交渉、労働局申請、労働基準監督署への申し入れ、裁判闘争など、あらゆる方法で、この無法に立ち向かっています。どんなたたかいも、初めから結果がわかっているものはありません。結果として要求が実現することもあれば、不当にも実現しないこともあります。しかし、そのたたかいが大義と道理にたつものであるかぎり、たたかって無駄なたたかいはありません。必ずそれは未来に生きてきます。ここに確信を持ってがんばろうではありませんか。わが党は、このたたかいに連帯し、国会内外の連帯した力で、雇用破壊を許さないためにたたかいぬくものです。
非正規雇用労働者の実態にそくした組織的結集の継続・発展を探求する
第二は、非正規雇用労働者の実態にそくした、組織的結集の継続・発展を探求することであります。
一つひとつのたたかいの帰趨(きすう)が、どのようなものとなったとしても、立ちあがった労働者のたたかいを一時のものとせず、ひとたび組織的に結集した労働者が、ひきつづき階級的連帯・団結の道を歩んでいけるように、新たな探求と努力をはかりたいと思います。
雇用破壊とのたたかいで勝利して、直接雇用・正社員化をかちとるならば、その職場でさらにたたかいを発展させることができます。
仮にそれがかなわず、職場を移る場合でも、つぎの二つの点で、組織的結集を継続・発展させるように力をつくします。
一つは、職場を移っても労働組合員として引き続きがんばっていけるような道の探求であります。ある電機産業の大企業で働いていた派遣労働者は、不当な雇い止めに反対するために、組合を立ち上げ、派遣元との団体交渉で解決金をかちとるという重要な成果をあげ、その組合としては解散しましたが、ひきつづき産業別の地方組織に残り、新しい職場が見つかったら、そこに階級的組合をつくって奮闘する決意をのべていました。これまでの労働争議の場合は、解決金をかちとって勝利解決をした場合には、労働組合が解散になり、組織的結集が断たれてしまう場合もありましたが、この間の特徴は、そうした場合でも、階級的自覚を高め、ひきつづき労働組合員として奮闘する決意を固めている場合が少なくないということにあります。これはたいへんに重要であります。
全労連は、一貫して、地域労連とそのもとでの個人加盟の地域労組(ローカルユニオン)の強化・結成の方針を打ちだしてとりくみを強めています。この地域労組が、産業別の地方組織と並んで、いま全国で「非正規切り」とのたたかいの組織化の主体として力を発揮しています。こうした動きとの連携を大いに強めたいと思います。
いま一つは、全国で頑張っている日本共産党組織の草の根のネットワークが、たたかいに立ちあがった労働者を温かく支え、連帯の絆(きずな)となっていくことであります。
第1回「講座」では、「連合系の組合でも、全労連系の組合でも、未組織労働者のなかでも、組織労働者のなかでも、正規労働者のなかでも、非正規労働者のなかでも、党をつくったら、つくったところに根をおろして、党組織を発展させる。そして党組織のネットワークが、職場労働者全体の連帯のネットワークになっていくようなとりくみが大切」と指摘しました。この見地がいよいよ大切であります。日本共産党の草の根のネットワークは、全国どこにいってもあるわけですから、このネットワークが労働者を支え、ともにたたかうということが大切であります。
この間、「派遣切り」などにあって、たたかいに立ちあがっている労働者が、いま次つぎと入党してきています。入党した労働者が、共通して「どこに行っても党員として頑張る」、「党に助けてもらった。今度は助ける側に回る」、「しっかり学習をして、世の中のしくみを知りたい」などと、積極的決意を語っていることは、本当にうれしいことであり、わが党にとっての宝ともいうべき大切な同志であります。その初心が生かせるように、懇切な学習・教育への援助とともに、支部会議への参加、党費納入、「しんぶん赤旗」購読など、党生活の確立のための親身の援助をおこないます。どこに行っても同じ日本共産党員として頑張れるように、転籍のさいには組織的連絡を緊密におこないます。
そのさい、地域支部との連携も大切であります。静岡県西部地区委員会では、昨年9月以降、入党した41人のうち、「派遣切り」をはじめ労働・生活相談をつうじて入党した同志が29人いますが、29人全員の所属支部が決まり、全員が「しんぶん赤旗」を購読し、新しい生活へのスタートを切っています。
新しい同志たちは、「入党したのだから、共産党のことを語り、広げたい」という思いが強く、学習の意欲も高いのが特徴です。職場支部、地域支部、党機関、議員団などが一体になって、連携を強め、新たに入党した同志たちの生活再建とともに、党員としての成長を温かく援助し、わが党の誇る草の根のネットワークが、労働者にとっての人間的連帯のかけがえのない絆となるように、力をつくすことをよびかけるものです。
「社会的連帯で反撃を」――正規と非正規との連帯、国民的連帯の発展を
第三は、「社会的連帯で反撃を」という見地を、あらゆる面で強めることであります。
正規労働者と非正規労働者との連帯をさらに強めたいと思います。
第1回「講座」では、「正規労働者から非正規労働者への働きかけが大切」と強調しました。非正規雇用労働者の立場からすれば、なかなか職場での不満や要求を口にだしづらい。それを代わりに正規労働者として働く仲間が言うことによって、連帯をつくっていこうということを提起しました。この提起を受け、正規労働者が非正規労働者の悩みに心を寄せて、雇用破壊とのたたかいをともにすすめる経験が全国に生まれています。いま立ちあがっている非正規労働者のたたかいのほとんどは、正規労働者との連帯のなかで立ちあがっていることが特徴であります。
そして、そのことにとりくむなかで、正規労働者の側も階級的自覚を高め、正規労働者のなかでの活動も活発になっているのも特徴です。非正規労働者の雇用を守り、正社員化をはかることは、正社員の労働条件を改善し、雇用を守るうえでも死活的に重要な課題であり、そのことを職場全体の要求にしていく努力をひきつづきはかりたいと思います。
民間大企業とともに、公務員、教職員のなかでも、非正規労働者の急激な増大があり、正規と非正規との連帯は、労働者階級のあらゆる階層のなかで、きわめて重要な課題となっていることを、強調しておきたいと思います。
労働組合のナショナルセンターの違いをこえた連帯をさらに発展させたいと思います。栃木県では、全労連系の組合と、上部団体を持たない組合が、ともに共同して「非正規雇用労組ネット栃木」を発足させて、連帯してたたかっています。さらに大学教授、弁護士、医師らが呼びかけて、「『非正規雇用労組ネット栃木』を支える会」が発足しています。立場の違いをこえた連帯、広い市民団体・個人との国民的連帯を大いに追求することを、訴えるものであります。
日本共産党の前進・躍進で、「政治を変え、職場を変えよう」
第四に、「政治を変え、人間らしい労働のルールをつくる」ことこそ、根本的な解決の道であるということです。そのことの重要性は、この間のたたかいのなかで、多くの労働者が自らの体験をつうじて実感していることだと思います。
私たちは、現行労働者派遣法のもとでも雇用破壊を止める道はあると、いま、たたかいをすすめていますが、同時に、この法律がいかに派遣労働者の保護にとって役立たない法律か、いかに派遣先企業に都合のよい仕掛けになっている法律かを、いやというほど体験させられています。よくもこんな悪辣(あくらつ)な法律をつくったものだと、つくづく痛感させられます。労働者派遣法を1999年の改悪前に戻す抜本改正をおこない、登録型派遣を原則禁止し、「みなし雇用」の制度を導入するなど労働者保護法に根本的に改正することは、急務となっていることを強調しなければなりません。
また、ヨーロッパでは当たり前になっている均等待遇のルールを確立すること、有期雇用の規制のルールをつくること、解雇規制をはじめリストラ規制のルールをつくること、長時間労働を規制する法的措置をとるとともに「サービス残業」を一掃すること、全国一律最低賃金制をつくり、その水準を抜本的に引き上げることに力をつくします。
さらに雇用保険・失業給付を、すべての失業者が受給できる制度とし、給付水準の引き上げとともに給付期間を抜本的に延長することは、失業者の生活を守ることはもとより、労働市場の底上げを保障し、「働く貧困層」をなくしていくうえでも重要であります。
日本共産党の前進・躍進で、「政治を変え、職場を変えよう」、「人間らしい労働のルールをつくろう」――このことを合言葉に、来るべき総選挙・都議選での勝利に全力をあげようではありませんか。
三、総選挙・都議選勝利をめざし、職場支部の総決起をどうかちとるか
報告の第三の主題として、総選挙・都議選勝利をめざし、職場支部の総決起をどうかちとるかについてのべます。
第1回「職場講座」の徹底と、職場支部の活動の到達点について
まず「職場講座」の徹底と、職場支部の活動の到達点について報告します。
第1回「職場講座」から3年。この方針を力に、切実な要求実現のたたかいを前進させ、党勢拡大と選挙戦のとりくみの前進に結実させているすぐれた職場支部が、全国各地に生まれています。同時に、党全体としてみれば、「団塊の世代」の大量退職などのもとでの組織的後退もあり、それを上回って職場支部を力強い前進の軌道にのせたとは、まだいえないというのが現状であります。
第1回「職場講座」の方針は、大会決定、中央委員会諸決定とともに、すべての職場支部が前進するうえで、ひきつづき基本方針であることを強調したいと思います。職場支部への「講座」の徹底は、52・1%と道半ばであり、「政策と計画」をもっている支部は64・8%であります。党員拡大は、この間、前進を切り開いている党組織が生まれているものの、なお成果支部は職場支部の17・0%にとどまっています。「講座」の方針を、すべての職場支部の生きた力にするために、引き続き努力することを、まず強く訴えたいと思います。
「講座」の方針にもとづくすぐれた教訓をすべての職場支部のものに
第1回「職場講座」以降、すぐれた経験をつくりだしている職場支部の経験を聞きますと、共通して「講座」にもとづく法則的活動をおこなっています。もともと「講座」の方針自身が全国のすぐれた経験に中央が学んで作り上げたものでした。ここにこそ法則的前進のカギがあることは、この3年間の活動が証明しています。
3月の幹部会決定でも強調したように、総選挙・都議選で勝利をかちとる最大の保障は、全支部、全党員が、後援会員とともに総決起することにあります。そして職場支部が、目前の政治戦に総決起するカギは、「職場講座」にあります。「講座」を力にして、この間、全国でつくりだされているすぐれた教訓を、全党のものにしながら、総選挙・都議選勝利への流れを職場からつくりだしていきたいと思います。
この点は、ぜひ討論で深めていただきたいと思いますが、全国から聞き取りをおこなって、重要だと考えることを、順不同で提起したいと思います。
労働者との人間的なむすびつき
第1回「講座」では、「まずあいさつから」ということが一つの合言葉となりました。まずあいさつからはじめて、労働者と日常的にむすびつき、人間的信頼関係をつくることが、すべての活動の出発点となることは、第1回「講座」で最も強調した点の一つでしたが、この点で全国ですぐれた経験がつくられています。
西日本の民間職場支部は、党の姿を知らせる「集い」を職場の労働者の3分の1が参加するまで発展させていますが、そのきっかけになったのは、「あいさつ」だったといいます。「連合系の組合員も同じ労働条件で苦しめられている。まずあいさつからはじめよう」と足を踏み出したことがきっかけとなって、憲法9条擁護の署名への協力をよびかけると、管理職もふくめてほとんどすべての労働者と対話ができ、ほとんどの労働者が署名に応じてくれた。「あいさつ」からはじめて、職場に足を踏みだすと、党員の労働者を見る目が変わり、そうした党員の変化がまた職場労働者に好意を持って受け止められるという人間的信頼関係の好循環が始まった。この職場支部では、総選挙にむけた対話・支持拡大目標を達成・突破し、「しんぶん赤旗」拡大でも30カ月連続拡大の「偉業」をいまもつづけているという報告でした。
非正規労働者とのむすびつきを広げている中部地方の製造業の職場支部は、「労働者の全生活にわたってつきあう」という「講座」の方針をその言葉通りに実践し、休日には、非正規労働者とファミリーレストランで食事をしたり、青年の間ではやっているボウリングを一緒にするために、50歳を超えてから初めてボウリングを練習するなどの努力を重ね、スーパー銭湯に非正規労働者と一緒に出かけ、期間工から正規労働者になるためにはどうしたらいいかを、文字通りの“裸のつきあい”でじっくり話しあっています。それが「非正規切り」とのたたかいをすすめる力となり、党への支持を広げることにつながっています。
民間職場でのたたかい
民間職場では、この間、「非正規切り」とのたたかい、成果主義支配を打ち破るたたかいがとりくまれましたが、どの場合でも、労働者から寄せられた声に耳を傾け、それにもとづく要求と政策をつくったことが力となっています。
東日本の製造業の職場では、「非正規切り」に対して非正規労働者が労働組合を結成して、団体交渉、労働局申告、裁判闘争などにとりくんでいますが、これを支えた土台には、職場支部の長年にわたる粘り強いとりくみがありました。「講座」の方針にそくして、非正規労働者に心を寄せ、労働者から寄せられた声をとにかく大切にして要求と政策にまとめ、会社や労働組合に要請し、その内容を職場新聞を発行して労働者に知らせる活動を徹底して重視しています。メールでの非正規労働者とのネットワークをつくって、情報・意見交換を粘り強くつづけてきています。「非正規切り」が襲いかかってきたとき、この日常のとりくみが力を発揮し、解雇通告を受けた労働者が相談にきたことが労働組合結成につながり、新入党員も迎えました。支部長は、「労働者がたたかいに立ちあがったのは、党支部が存在し、非正規労働者に心を寄せてたたかい続けてきたことがある」と語っています。
西日本の製造業職場では、賃下げ・差別と分断の成果主義への職場の不満が高まるなかで、職場支部が、「講座」が提起した成果主義とのたたかいの方針を生かし、成果主義による賃金格差の拡大に反対して、一律賃上げ要求を掲げてたたかいました。この要求は、成果主義に苦しむ広範な労働者の共感を呼び、連合系労働組合の方針ともなり、春闘要求に一律賃上げ要求が盛り込まれる中で、08年春闘では千円一律賃上げを実現し、党への信頼を高めています。
民間職場でのたたかいは、もとより多種多様ですが、労働者の声に耳を傾け、それにもとづく要求と政策をつくっていく。そしてそれを実現する活動にうまずたゆまずとりくむということが、すべての活動を発展させる原点となっています。
自治体労働者のなかでのたたかい
自治体の職場では、「官から民へ」「三位一体の改革」の掛け声で、福祉、医療、介護、教育などの公共サービス切り捨てがおしつけられるもとで、何よりもまず「住民福祉の増進」という自治体の原点にたって、地方自治のあり方を根本からただす政治の転換を主張するとともに、住民要求の実現を出発点にしたたたかいを、住民と連携してすすめているところで前進をかちとっています。
首都圏の自治体の職場では、保育予算削減をねらった保育園の統廃合や民営化が、保育水準の切り下げにつながることを明らかにし、「犠牲になるのは子ども」と父母と連携したたたかいをすすめ、民営化を最小限に食い止め、民営化されたところでも保育の質の確保に最大限の努力を払っていることが、父母からの信頼を高めるとともに、職場のなかでの信頼を高めています。
住民サービス切り捨てと一体に広がっているのが「官製ワーキングプア」です。民営化・民間委託された職場はもとより、一般職のなかでも非正規雇用労働者が広がるなかで、何よりも住民への質の高い公共サービスを充実させようとすれば、人間らしい労働条件の確保が必要だという見地で要求実現のたたかいを組織し、労働組合を強化・発展させている経験が生まれていることは重要であります。
住民のための仕事にこそ自治体労働者の使命がある、そのためにも安定した労働条件をという自治体労働者論の実践にとりくんだところで、職場での共感と信頼を広げていることが、最大の教訓です。こうしたとりくみのなかで、「仕事でも組合活動でも、尊敬していた人は実は日本共産党員だった」ということがわかって、入党者を迎えているのが共通した教訓であります。
教職員のなかでのとりくみ
教職員のなかでの活動は、子どもの成長と発達を出発点にし、何よりも大切にするところから前進がはじまっています。
いま子どもの貧困の問題が重大な社会問題になっています。「朝ごはん」を食べてこない、学校でケガをしても医療費が心配で病院に行きたがらないなど、子どもの心に大きな傷をつくる事態が起こっています。改悪教育基本法のもとで、全国一斉学力テストの押し付けをはじめ競争と序列化の教育がいっそうひどくなっていることも、教育現場のゆがみや荒れをいよいよ深刻にしています。このもとで教員の多忙化がすすみ、不安定な働き方をしいられる臨時教職員が増やされるという状況もあります。多くの教職員が、この現実と苦闘し、深い悩みを抱えています。とくに、「団塊の世代」の退職期を迎え、新卒の青年教師が大量に採用されるなかで、若い教師が、よりよい教育をしたい、教師としてどう生きていくのかという悩みと要求を持ち、真剣な模索をおこなっています。
西日本のある教職員の職場では、こうした悩みや要求に全面的にこたえる活動をすすめ、多面的な前進をかちとっています。労働組合として青年フェスタにとりくみ、青年自身を主役に、教育実践を持ち寄り、悩みや苦しみを出し合い、そこから学び合ってお互いに成長する場にしています。教職員支部は、このとりくみを成功させるために奮闘し、党員の教師が「こうやってみたらどうか」とアドバイスしています。参加した青年教師は、「教職員評価があるので、校長に気に入られようとばかり考え苦痛だったが、『だれのために先生になったんや。管理職の目なんか気にするな』の一言で頭の中がスカッとした。仲間がいるから大丈夫。組合は心の安定剤」と発言し、このとりくみで成長した青年が、各地で青年部再建の中心になって奮闘しているとの報告でした。
首都圏の教職員支部は、党員教師も教育実践で苦闘している。第1回「講座」で強調した「党員の苦しみはみんなの苦しみ」という立場で、この問題をとらえて、支部会議でまず党員自身の悩みを出し合おうじゃないか。こうやって、支部会議で党員の悩みや困っていることを出し合うことから出発し、みんなで解決方向を考えていくように運営していったことが、職場を変えるうえで大きな力となっています。問題を、個人の殻に閉じ込めないで、教師集団、学校全体、さらに保護者の問題ととらえ、みんなで考え支えあう関係をつくろうとなって、実践をはじめてみたら問題解決の糸口が見えてきた。そこから教訓を引き出し、民主的な教職員と地域の民主団体が協力して開いてきた「地域の未来集会」という数百人規模の教育研究集会を、さらに発展させているとの報告でありました。
全国の民主的教職員は、第1回「講座」以降、教育基本法改悪反対の歴史的闘争を、国民とともに堂々とたたかいぬきました。悪法は強行されましたが、このたたかいは今に生きています。教職員のなかに日本国憲法に依拠した民主的な教育実践をすすめる生命力を広げています。教職員のなかで新しい党員を迎える力ともなっています。ここに確信をもって前進のうねりを大きく広げていこうではありませんか。
党勢拡大と党生活、後継者問題について
この間、全党は、17カ月連続で党員拡大で増勢をつづけ、この間に、新たに1万7千人の新規党員を迎えましたが、こうした党員拡大の新たな前進傾向は、職場支部のなかでも生まれています。
この間の全党の奮闘によって、「日本共産党こそ労働者の味方の党」という評価は、社会的にも広がりつつあります。企業や工場の門前での党の宣伝にたいしても、これまではほとんどの労働者がビラの受け取りを拒否するような職場が少なくありませんでした。守衛さんが立っていて、ごみ箱が置いてあって、せっかく受け取った人がいても、ごみ箱に直行するということも多かった。ところが今では、そういう職場でも、自動車で出勤する労働者が、車を列をなして止めて、窓を開けてつぎつぎにビラを受け取る状況が各地で生まれていることが、報告されています。労働者階級は日本の人口の7割を占めるわけですが、これまでは企業や工場の門前で、なかなか宣伝が入らなかった。声が届かなかった。ところが、そこに声が届くようになった。これは本当に大きな変化であります。
いま労働者との人間的むすびつきを強め、雇用破壊に反対し、人間らしい労働のルールをつくるたたかいと一体に、広大な労働者に、日本共産党への入党を呼びかけ、「しんぶん赤旗」の購読を呼びかけるならば、職場に強く大きな党をつくり、後継者を獲得する、大きなチャンスであります。このことを正面からつかみ、広い労働者のなかに思い切って足を踏み出し、職場に強く大きな党をつくることを、強く訴えるものです。
党生活については、第1回「講座」が強調した「綱領学習と支部会議こそ困難打開のカギ」という教訓を重ねて強調したいと思います。東日本の学校給食職場の支部では、この5年間に6人の新入党員を迎えていますが、支部長の同志は、「安心・安全の学校給食へどうしたらいいのかを議論する支部会議が“力の源”」という報告を寄せています。仕事がきつくて、へとへとになっても、定例の支部会議に出席して、お互いがよりよい学校給食、どうやったらおいしくて安心・安全な給食をつくれるか、そのためにどういう奮闘をしているかを交流すると、明日の活力がわいてくる。そんな支部会議をつくり、学習を徹底して重視していることが、支部の活性化につながっているとのことでした。
党生活にかかわって、すべての労働者党員が「しんぶん赤旗」の日刊紙を読むことを、心から訴えたいと思います。労働者階級は、日本国民の圧倒的多数を占め、日本社会と経済の動向を決定的に左右する階級であります。労働者階級のなかで多数者となってこそ、民主連合政府の道は開かれます。そのためには、労働者党員が、世界の動き、日本の動きを、日々の「しんぶん赤旗」でつかみ、労働者の中で知的・政治的な信頼をかちとることが不可欠であります。そして、「しんぶん赤旗」が、全国で苦労して頑張っている職場の仲間のたたかいを、克明に伝え、全国の労働者のたたかいの連帯をすすめる唯一の日刊紙であることも強調したいと思います。すべての労働者党員が、「しんぶん赤旗」日刊紙を読み、労働者に明日への希望をつたえ、温かい連帯を広げる、この素晴らしい国民的メディアを労働者・国民のなかに広げようではありませんか。
党機関の職場支部への指導と援助――2つの点について
党機関の指導と援助について、二つの点をとくに強調したいと思います。
一つは、党機関の指導と援助の基本姿勢についてであります。この点では、第1回「講座」でのべた次の三つの点が、心を通わせ、ともに前進を築く上で、ひきつづき最大のカギだということを強調したいと思います。
すなわち、(1)「職場で困難な条件のもとで不屈に奮闘してきた同志に心からの敬意をもって接し、実情を聞くこと、謙虚に学ぶこと」、(2)「職場支部を、直面する課題に役立つかどうかという短期の目でみずに、長期の目で職場支部を強め、継承していくための手だてを、一緒になってとること」、(3)「職場支部の活動をはげます党機関としての独自のとりくみをおこなうということ」であります。
「知恵は現場にある」――この言葉を合言葉にして、職場の同志とともに考え、ともに前進をつくるという態度を堅持して奮闘しようではありませんか。
いま一つは、指導と援助の体制を崩さず、中断せず、成果をあせらず、粘り強くという立場を堅持することです。第1回「講座」を受けて、41県と175地区で職場支部援助委員会が確立しています。こうした体制を確立したことが、職場支部の困難に心を寄せ、困難をともに打開する気風を広げています。この指導体制を総選挙にむけて絶対に崩さず、強めながら、すべての職場支部が立ちあがるよう援助を強めたいと思います。
「労働者選対」を確立し、選挙戦での職場支部への援助を強めている地区の経験が生まれていますが、選挙戦でこそ、職場支部援助委員会の活動を継続し、職場支部への援助を強めることを訴えるものです。
むすびに――全労働者・国民を視野に入れた活動で、職場から勝利のうねりを
いよいよ総選挙・都議選が目前にせまりました。第1回「講座」以来、積み重ねてきた成果と教訓をさらに発展させながら、すべての職場支部が、全労働者・国民を視野に、「比例代表で650万票以上」という全国目標にふさわしい得票目標・支持拡大目標を決め、職場後援会と力をあわせて、この歴史的政治戦に立ちあがり、「全国は一つ」の立場で、宣伝・対話で飛躍をつくろうではありませんか。「集い」を繰り返し開き、すべての職場支部で新しい党員を迎え、「しんぶん赤旗」読者を増やして選挙をたたかおうではありませんか。
労働者のなかで多数になってこそ「国民が主人公」の民主的政権への道は開かれます。その第一歩を刻む選挙にするために、全国の労働者党員のみなさんが、総選挙勝利の先頭にたつことを心からよびかけて報告といたします。
志位委員長のまとめ
全党の豊かな活動の発展が反映し、大きな成果をおさめた
みなさん、2日間の会議、ごくろうさまでした。討論のまとめをおこないます。
36人の同志が発言しました。発言は全体として、ほんとうに感動的で、教訓に満ちたものであり、第1回「職場講座」以降の3年間の全党の豊かな活動の発展が反映されたすばらしい会議になったと思います。
私は、発言の全体の特徴として、二つの点を感じました。
一つは、雇用破壊に反対する全党のたたかいの新しい息吹がみなぎったものとなったということであります。
いま一つは、前回の「講座」の方針をふまえて、こつこつと粘り強く法則的な党活動を前進させている教訓がみなぎったものともなったと思います。
今回の「講座」は、この両方の前向きの流れが合流し、響きあって、職場支部の活動の新しい発展方向がくっきりと明らかになった会議になりました。第2回「職場講座」は、参加者のみなさんの奮闘によって、大きな成果を収めたと確認できると思います。
発言は、どれも教訓にとんだものでしたので、適切な方法で全党に伝えたいと考えています。時間の関係で残念ながら発言できなかった同志も、文書発言を提出していただければ、それも含めて全党に伝えていきたいと思います。
「非正規切り」に反対してたちあがった労働者の決意が語られた
みなさんの発言を聞いて、党中央として学んだ点として、いくつかの問題についてのべたいと思います。
第一は、雇用破壊とのたたかいについてであります。この問題については、多くの同志がいまのたたかいの生々しい実態、さまざまな苦労、今後のたたかいへの決意と展望を語りましたが、どれも感動的なものでありました。私は、4点ほど大事だと感じた点をのべておきたいと思います。
一つは、「派遣切り」「非正規切り」に反対して立ちあがった労働者の決意が、この場で語られ、また紹介されましたが、そのどれもが私たちが聞いていて、胸が熱くなる、感動的なものだったということです。
いま「派遣切り」に正面から立ち向かってたたかっているある同志は、「世の中では貧困が問題になっています。たしかに物質的には貧困です。でも入党して、いまの自分は幸せの気持ちです。心は貧困ではありません」とのべました。社会を良くするたたかいのなかにこそ、人間の真の幸福がある。これこそが私たちの幸福観でありますが、それがこの会議で語られたことは、たいへんに感動的でありました。
ある同志は、裁判闘争でたたかっている気持ちを、「無法状態を、これから働く若者たちや未来を生きる子どもたちに残してはいけません。いまここで道筋をつけることが、目的です」と語りました。みずからのたたかいを労働者全体との連帯、そして未来の世代への連帯のたたかいとして位置づけてたたかっているわけでありますが、この決意もまさに日本共産党員ならではの決意だと思います。
私は、全党があげて、いまたたかいに立ちあがった労働者を励まし、ともに連帯してたたかう決意を固めあおうではないかということを、重ねて呼びかけたいと思います。
長年にわたる職場支部の不屈の奮闘が、雇用破壊とのたたかいを支えている
二つ目に、職場支部の粘り強いたたかいが存在したからこそ、雇用破壊に反対するたたかいが起こったということが、こもごも語られました。いまの労働者のたたかいを支えているのは、長年にわたって困難のなかで党の旗を高く掲げ、それを守り抜いてきた不屈の奮闘だったということが、発言でのべられました。
西日本の製造業での「非正規切り」とのたたかいについても、「派遣労働者の仲間に慣れない仕事を粘り強く教えて信頼を得たことや、安心して話せる相談相手になる努力を続けてきた。結びつきをさらに広げるために、派遣労働者を運ぶ派遣会社のバスの行き先や停留所を探して、政策を伝え、アンケートをおこなった」などの活動をずっとやってきて、その積み重ねのなかでたたかいを支えているという経験が語られました。
東日本の製造業での「非正規切り」とのたたかいでは、二つの工場で、同時に労組の結成がおこなわれましたが、これを支えたのが、どちらの工場にも日本共産党の支部が存在し、たたかい続けてきたことにあると報告されました。職場新聞を創刊して5年がたち、職場新聞中心の活動をすすめてきた。ここでは党支部が、前の工場が閉鎖され、労働者がリストラされて、いわば二つに“泣き別れ”になって、双方に支部をつくろうということを決意しあい、その決意のまま頑張りぬいてきたことが、たたかいを支えているという報告でありました。
日本共産党の職場支部が、全国各地で「派遣切り」に反対して立ちあがろうという人たちを支える、かけがえのない連帯の絆となり、たたかいの土台となっている、これは私たちがおおいに確信にすべきことだと思います。
苦しんでいる労働者にどういう姿勢で接するか――「聞く力」が試されている
三つ目に、大切だと感じた点は、いま雇用破壊で苦しんでいる労働者、「使い捨て」労働に苦しんでいる労働者にたいして、党がどういう姿勢で接するかという問題です。この点でも、発言で教訓的な報告がたくさんありました。
広島県の福山市議会議員の土屋とものり同志の発言は、参加者に感銘を与えたと思います。「派遣切り」にあった若者たちのたたかいに連帯して懸命に奮闘した活動の報告です。はじめは人間にたいする不信や、なかには人間への憎悪の気持ちをのべていた若者が、党が献身的に若者の悩みに耳を傾け、ともに打開しようと、繰り返しその苦しみに心を寄せた活動をすすめるなかで、「人間が信じられるようになった」、「自分と同じ『派遣切り』にあった人たちをこれからは助けたい」と変化していった経験が語られました。短時間に若者の人生観が変わるような変化をしていく。その変化に党が寄り添って援助していく。そこには、国民の苦難の軽減という立党の精神が感動的に語られたと思います。
私たちがどういう姿勢で接するかという点で、非常に教訓的だと思ったのは民青同盟中央グループの同志の発言です。あの発言を聞いて、私は、「いまわれわれの『聞く力』が試されている」ということを感じました。
民青中央グループの同志が、民青の会議でまったくしゃべらない青年がいて、どうしたらいいか悩んだ。いま若者が、いろいろな意味で、「自己責任論」にがんじがらめになって、なかなか自分から口に出してものがいえない。そのときに「朝ごはんは何を食べているの」というところから始まって「マクドナルド」と初めて口を開いた。「毎日なの」と聞くと「そうです」。「お昼ご飯は」と聞くと「吉野家です」。「毎日なの」というところから始まって、「どうしてそうなの」と聞いてみたら、「家でご飯を食べるのがつらい。誰かと一緒に楽しいご飯を食べたことがない」と語りだした。そこで班で鍋会をやった。そうしたら、その青年が自分の気持ちを語り出すようになった。実は派遣で働いていて、給料がひどく安いということを語り出し、青年ユニオンにも参加し、争議の団体交渉に参加するところまで成長しつつあるという経験が話されました。
いま若いみなさんが、企業悪、政治悪で苦しめられているにもかかわらず、それを「自己責任」だということで、自らを責め、精神的に金縛りにあっているような状態が非常に広範にあります。そういう人たちにいきなり、「悪いのはあなたじゃない」と、世の中の仕組みの話をしてもなかなか通じない、心を開いてくれないということもあると思います。「聞く力」が大事だと私は感じました。
私自身、派遣で働く多くの若者に実態をうかがう機会が、この間何度もありましたけれども、どうやって聞いたらいいか、私自身も悩みながら聞く場面がたくさんありました。「聞く力」というのは非常に大切だと痛感します。われわれは話す方は慣れていても、聞く方は意外と慣れていない場合も少なくありません。しかし、よく聞いて本当に心を開いてくれたら、聞くだけでもだいたい8割ぐらいの信頼は得られて、あとは話せば残り2割の信頼が得られるということも、いまの若者との関係では少なくないわけです。
実態をよく聞き、苦しみに心を寄せて、一体になってたたかうという姿勢で接していく。そのなかで国民の苦難軽減のために献身するという、わが党の立党の精神を輝かそうではないかということをいいたいと思います。
「たたかいがルールをつくる」――人類の歴史といまのたたかい
四つ目に、雇用破壊とのたたかいとのかかわりで強調したいのは、「たたかいがルールをつくる」ということです。
これは人類の歴史を見ても、人民のたたかいがルールをつくってきたというのが、世界の歴史なのです。
古くは、人類にとって最初の労働のルールといったら、イギリスの19世紀の工場立法です。それまでは労働時間はまったく制限がありませんでした。1日12時間、13時間労働が平気でおこなわれていました。しかし、そんなことをやると、労働者の寿命がどんどん縮んでしまう。健康も壊れてしまう。そういうなかで労働者が大闘争をやって、そのなかで初めて10時間労働制がしかれたのが、19世紀半ばのことです。このことをマルクスは「半世紀にわたる労働者の内乱」によって労働時間の規制をかちとったという特徴づけをしています。最初の労働時間規制は人民の大闘争がつくったのです。それにつづいてロシア革命で「勤労し搾取される人民の権利宣言」が高々と掲げられ、それが世界に広がっていく。さらに1936年のフランスの人民戦線政府は、労働組合の全国的なたたかいを背景に一連の大改革をすすめ、バカンス――有給休暇などがつくられる。さらに第2次世界大戦を経て国連がつくられ、世界人権宣言などがつくられ、ILO(国際労働機関)も国連の一機関として強化されていく。これらの労働のルールは、すべて世界の人民のたたかいがつくりだしたものにほかなりません。たたかいの一歩一歩がルールをつくってきた、これが人類の歴史であるわけです。
日本でももちろん、誇るべきたたかいの歴史があります。同時に、わが国の社会は、不当な攻撃が加えられた場合に、社会の側から強力な社会的反撃をもってこたえるということが、ヨーロッパなどと比べてまだ弱いという問題点があることも、私たちは率直に言ってきました。いま始まっているたたかいは、そうした日本社会のこれまでの弱点を突破して、不当な攻撃が加えられたら、社会があげてそれに強烈な反撃を持ってこたえ、財界・大企業を逆に包囲するというたたかいを始めているわけで、これはまさに「ルールある経済社会」をつくる、新しい歴史をつくるたたかいなのだということを強調したい。ぜひお互いに、こうした世界と日本の大きな歴史的たたかいの文脈のなかに、いまのたたかいを位置づけて、頑張りぬきたいと思います。
人間らしい労働のルールという点では、法曹関係の同志からも発言がありました。民主的な弁護士のみなさんもあげて応援すると、心強い発言があったこともうれしいことです。
中・長期の展望と目標をはっきりさせ、「継続こそ力」でとりくむ
今回の「講座」では、第1回の「講座」をふまえて、こつこつと、粘り強く法則的な党活動を前進させている教訓がたくさん語られました。職場支部の活動の法則的な発展方向として大切だと感じたこと、私たち自身も学んだことを、話したいと思います。
一つは、職場支部が、当面のたたかいの方針を持って頑張ることはもちろん大切なのですが、息の長い中・長期の展望と目標をはっきりさせて、継続してその実現のためにとりくむことが大事だということを強く感じました。
職場支部のたたかいは相手が大企業という場合が少なくありません。公務労働や教職員にしても、多くの場合、権力そのものが相手になってくることになってきます。ですから、当然たたかいには困難があり、山もあるけど谷もある、前進期もあればやむをえざる後退期もあるわけです。そうしたたたかいにたちむかうさいに、どんな場合でも、中長期の展望で、それぞれの職場をどう変えていくかの「政策と計画」を持って、その実現のために継続してとりくむ、この「継続こそ力」だということを、2日間の討論で、私たちはたいへん強い印象を持って聞きました。
東日本の自治体職場では、職場の労働組合の民主的強化を大きな目標にして営々ととりくみ、14年間にわたって2人ずつ入党者を迎えていると報告しました。職場で多数派になって、労働者の利益に立った労働運動を確立しようということを大目標にすえて、うまずたゆまず党を強く大きくしてきたという経験が報告されました。
西日本の民間製造業の職場では、この間の「派遣切り」に反対するたたかいで、今後に重要なたたかいが残されており、決着はこれからですが、直接雇用をかちとるという重要な成果をあげています。ここでは、一貫して非正規労働者を結集することを重視してとりくんできたとのことでした。その要として組合の機関紙を日刊で発行して、9011号までいったという報告がされました。毎日毎日、機関紙を出すというのは、たいへんな仕事だと思います。まさに継続した力によって、いつでも日常の仕事として職場の要求とたたかいの方向が労働者の目の前に示されている。これが大きな力になって、いざ「派遣切り」というときに、たたかいを支える力になっているのだと思いました。
西日本の公務職場は、4年間にわたって、2カ月に1回の「党を知る会」をずっととりくんできたと発言しました。このとりくみで、7人の入党者を迎えたという話でした。ときには、せっかく開いても党員以外はほとんど参加しないという場合もあったけれど、ともかくも「党を知る会」を絶やさず続けてきた。そのなかで党員拡大については、「大事なのは自信を持って入ろうと言い切ることだ」と発言していました。これも2カ月に1回、4年間にわたってということになると24回ですが、これもずっと続けていくなかで変化が起こってきたということだと思います。
東日本の公務職場では、読者ニュースを毎週発行して、1849号だと報告しました。三十数年にわたって読者ニュースを営々と発行して、「しんぶん赤旗」読者との結びつきを生きた形でずっと保ち、広げてきた。これが力になっているという話でした。
職場支部の活動の発展というのは、一朝一夕になるものではないと思います。いろいろな困難もあるし、時には挫折することもある。失敗もある。しかし、中・長期の目標をたて、それを堅持して、その実現のために営々と努力していく。そのなかで、情勢の進展とともに大きな飛躍も生まれるし、今回のように雇用破壊という波が襲ってきたら、それをはねかえす力も生まれてくる。「政策と計画」を持ち、「継続こそ力」だということを、討論をふまえて、みんなで確認しておきたいと思います。
支部会議と綱領学習――「知・情・誠実」の立場で支部を援助して
職場支部の活動で、二つめに大事だと感じたのは、そういう活動を支えているのは支部会議と綱領学習だということです。
それを援助した大阪・高槻島本地区の職場支部援助委員の同志の発言は、たいへん教訓的でありました。ここでは、前回の「職場講座」の方針を生かして、機関の支部への指導姿勢として「知・情・誠実」の三つが大切だということを確認し、実践しているという経験が話されました。
「知」という点では、支部会議で20分以内で情勢を伝える、そのために「赤旗」をよく読む。「情」という点では、支部の同志たちの気持ちに心をよせ、悩みを聞く。「誠実」という点では、継続するということが言われました。支部会議に参加しようと支部を訪ねたら、「支部会議に参加するといっても数カ月ぐらいの程度だったら、来ないほうがいい。すぐに元に戻ってしまい余計困難になる」といわれた。そこで「ずっと参加する」と約束して、支部会議に参加してきた。このような経過で支部会議に1年半も続けて参加したという話がされました。1年半の支部会議に毎回参加するのは、言うはやすくおこなうのはたいへんだったと思いますが、それをやったら、支部会議は定例化し、「うちはもう大丈夫です。ほかに困難な支部があるなら、そこに行ってください」と支部からいわれた。「誠実」さが通じたとの発言でした。1年半の実践を通じて、支部と機関の心の通い合いが確たるものになって絆が生まれ、支部から感謝され、信頼が生まれているという報告でした。これも大切な教訓を語ったと思います。
仕事で信頼されてこそ、労働者に党が信頼される
三つ目に、どんな分野であっても、仕事で信頼されてこそ、労働者に党が信頼されるということが、討論で明らかにされたと思います。
東日本の給食職場の活動について発言がありました。仕事ができるようになって初めてみんなから信頼される。そのために努力を重ねてきたことが語られました。
中部地方の製造業でたたかっている同志が、前回の「講座」の方針を生かして、「あいさつ」ということを重視し、実践を始めたという発言がありました。これまで始業開始のぎりぎり直前に出社していたため、あいさつする暇がなかった。それで15分早く行くようにした。そうしたら、あいさつもでき、いろいろな話もできるようになり、仕事の問題でもそういう余裕を持って行くことが信頼を得ることにつながったという発言もありました。
やはり日本共産党員は、仕事の上でも信頼できるし、尊敬できるとみんなから思われてこそ、党への信頼が生まれると思います。これは公務員や教職員の場合はもとより、民間職場を含めて、どんな労働であってもそうだと思います。このことを討論からも強く感じました。
労働組合運動の立場の違いをこえた共同について
四つ目に、労働組合運動のナショナルセンターの違いを超えての共同ということが、ずいぶん語られました。
これはいろいろな形態で探求する必要があると思いますが、大阪の教職員のたたかいは非常に教訓的だったと思います。橋下知事が35人学級をやめるというとんでもない暴言をはいた。この橋下知事の暴挙にたいして、PTA、校長会、全教、日教組の連帯がつくられて、35人学級をやめるという相手の攻撃を打ち破ったという経験が語られました。やはりこれは、誰しも賛同しうる大義の旗を掲げれば、ナショナルセンターの違いを超えた共同が可能であることを示しているわけで、これは大いにいろいろな形で探求すべき方向だと思います。
同時に、もう一つ別の角度からの共同という問題があります。一連の発言の中で、連合の組合の職場で、党組織が労働者の要求をしっかりつかんで、労働者の利益を実現するという立場に立ってたたかうことによって、連合労組の方針にもその立場を取り入れさせているという経験が語られました。党が労働者の要求を全面的につかんで、組合に要請して、組合の方針にしていく。これも非常に大事な方向だと思います。
関西の運輸職場からは、「節度ある批判、道理ある説得」という立場でとりくんでいるという発言がありました。連合系の労組にたいしては、「節度ある批判」が当然必要になってきます。いろいろな弱点にたいしては率直な批判が必要になるでしょう。同時に、「道理ある説得」をおこない、要請をおこなって、労働者の要求を実行させていくという見地で働きかけている。これはたいへんに教訓的な活動であります。
連合系の組合であっても、労働組合である限り、その立場を捨てない限り、労働者の要求を反映せざるを得ません。とくに現在のような雇用破壊が猛威をふるっているもとでは、反映せざるを得ません。そういうもとで、弱点には「節度ある批判」をやりながら、「道理ある説得」によって、党支部が掲げた要求を連合系の組合の要求にしていく、この姿勢が大切だと思います。関西の運輸職場では、そういう努力の結果、数百人の規模で子会社の労働者が本社の正社員など直接雇用になった。これはたいへんに大きな成果です。
連合系の組合との共同の形態はさまざまです。いろいろなケースがありうるわけですが、大阪でとりくんだような一致点での協力ということもあるし、いま言ったような形での働きかけということも大事です。可能な共同を最大限追求しながら、労働者の要求を実現し、そのなかで党への信頼を強め、強く大きな党をつくっていきたいと思います。
総選挙・都議選勝利へラストスパートを――条件に確信もち打って出よう
いよいよ総選挙が近づいてきました。早ければ6月ということもあるでしょうし、遅くても9月です。まかり間違っても来年に延びる心配はありませんから、ラストスパートをかけなければならない時期に入りました。それから都議選は7月ですから、これは時期が決まったたたかいとして、あと2カ月余のたたかいとなりました。この二つの選挙戦の勝利に向けて、この会議を大きな跳躍台として頑張りたいと思います。
この点で強調しておきたいのは、2日間の討論を通じて、いま広大な労働者階級の中に日本共産党の支持を広げ、党を強く大きくする条件、党の支持を思い切って広げうる条件が、こんなに広がっているときはないということが、生き生きと明らかになったということです。ここにお互いに深く確信をもって、選挙戦にのぞみたいと思います。
報告でものべましたが、工場・企業前宣伝で党のビラがどんどん入るということが、討論でも語られました。北海道の苫小牧にある工場の門前で、明け方のまだ暗い時間の出勤時に、ずっと車がつながってビラを受け取ってくれる。すーっと車の窓ガラスが開いて、手がでてくる。こんな状況になってみんながビラを受け取ってくれるようになったとの報告でした。このすーっと手がでてくるようになったのは、自然現象で起こったわけではなくて、なぜ起こったかと言えば、全党のたたかいの結果です。日本共産党あげて雇用問題、労働問題にとりくみ、労働者階級のたたかいのよりどころだと、労働者階級の味方の党だという評価が広がりつつあることの成果として、すーっと手がでる状況が生まれているわけです。
広い労働者の中に私たちが打ってでて、この条件を生かして、必ず直面する選挙戦で勝利するために、職場支部のみなさんが全党のたたかいの先頭に立って頑張ることを訴えたいし、私たちも心を一つにして頑張る決意を申し上げて、討論のまとめとします。