2009年4月30日(木)「しんぶん赤旗」
5兆円超ため込む
期間従業員は全員解雇
本田技研
自動車大手の本田技研工業は、四月末までに期間従業員をゼロにする一方、三月末時点で五兆円の利益剰余金をため込んでいることが分かりました。同社は二十八日、二〇〇九年三月期連結決算を発表。それによると、黒字を確保したうえ、内部留保の一部である利益剰余金は、約五兆九百九十三億円と、一年前とほぼ同じ水準です。雇用を維持する体力は十分にあります。
同決算によると、本田技研は、一年前と比べ大幅な減益となっているものの、本業のもうけである営業利益は千八百九十六億円、税引き後の純利益(最終利益)は千三百七十億円を確保しました。黒字なのに、「減益」を理由にして、二月時点で四千三百人いた期間従業員を全員解雇・雇い止めするのは、利益確保のために労働者を「雇用調整弁」扱いする典型例です。
株主への年間配当金は一株当たり六十三円、配当金総額は千百四十三億円(前年度は八十六円、千五百六十億円)にのぼります。純利益のうち配当金に回す割合を示す配当性向は83・4%にはねあがりました。「減益」の中でも、雇用より株主配当を重視する姿勢が表れています。
乗用車の在庫について、近藤広一副社長は「夏場に適正な水準に戻る」と指摘。販売回復と「リストラ効果」を見込み、一〇年三月期の純利益も四百億円を予想しています。