2009年5月1日(金)「しんぶん赤旗」
キヤノン 利益剰余金2.9兆円
雇用維持の体力は十分
キヤノンは三十日、一―三月期連結決算を発表しました。それによると、三月末の利益剰余金は約二兆九千億円となりました。御手洗冨士夫会長が日本経団連会長を務める同社は、「非正社員切り」の先頭に立ってきました。雇用を維持する体力は十分あることが、改めて分かったことで、同社の社会的責任が問われます。
同決算によると、キヤノンは一年前と比べ減収減益となっているものの、本業のもうけである営業利益は二百億円、純利益(最終利益)は百七十七億円を確保しています。内部留保の一部である利益剰余金は、二兆八千八百一億円で、一年前の水準(二兆九千三百三億円)をほぼ維持しています。
二〇〇九年の年間見通しについても、「徹底した経費削減の実行」などで営業利益千八百億円、純利益千百億円を予想しています。
キヤノンは一―三月期の決算概要で、日本では外需の落ち込みや在庫調整、設備投資抑制により、「実体経済の悪化が顕著」としています。日本のトップ企業が「非正社員切り」を競い合うことは、雇用破壊と所得低迷を加速させ、さらなる「実体経済の悪化」を招き、企業収益にもはねかえる悪循環を招くだけです。