2009年5月1日(金)「しんぶん赤旗」
ヘッジファンド
運用者の登録制に
欧州委指令案 投機を規制へ
【ロンドン=小玉純一】欧州連合(EU)執行機関の欧州委員会は二十九日、投機集団ヘッジファンドのマネジャー(運用者)の登録を義務化し規制する指令案(法案)を発表しました。
指令案はEUやG20(主要二十カ国・地域)が進める規制の一環で、金融市場への信頼を回復するのが目的です。
同案は、EU域内をベースとして一億ユーロ(約百二十五億円)を超える資産のヘッジファンドのマネジャーを対象とし、EU当局への登録と当局の検査を受けることなどを義務化しています。資産額はフランス、ドイツの批判を受けて当初案より引き下げられました。
ヘッジファンドなどに対する規制導入をめぐっては、フランスやドイツが、投機的な資金運用を通じて市場にリスクをもたらしているとし、強く支持。これに対し、世界有数の金融街シティーを擁する英国は、厳しい規制に反対しています。
四月初めにロンドンで開かれたG20金融サミットでは、ヘッジファンドの登録制導入で合意。しかし、ヘッジファンド業界は、欧州委は業界の意見をほとんど考慮していない上、規制案の策定プロセスも性急すぎるなどと反発しています。
欧州委案をめぐっては、EU加盟国政府と欧州議会も検討。承認されれば、二○一一年にも実施される見通しです。
ヘッジファンド 私的に資金を集め、証券や為替や商品などに投資し、利益を分配する基金(ファンド)。投資の危険を避けるため、危険を相殺する逆の投資を組み合わせる(ヘッジする)のでこう呼ばれます。実際には、銀行などの金融機関が設立することが多く、手法も千差万別です。規制を逃れるため、会社形式をとらないことが多く、規制がないか、緩い国・地域に名義上の本拠を置くのが常です。二〇〇七年末で、数は一万九十六、運用資産残高は約百八十七兆円にのぼるとされます。