2009年5月3日(日)「しんぶん赤旗」

主張

憲法記念日

守り生かしぬく決意新たに


 一九四七年の施行から六十二回目の憲法記念日を迎えました。

 イラクやアフガニスタンでの戦争の行き詰まりで、戦争ではなく平和の国際秩序を求める国際的潮流はますます強まっています。一方、世界的な金融・経済危機の中で、大企業の横暴を抑え国民の利益に立つ経済社会を求める声も広がっています。平和と暮らしのために、主権在民、戦争の放棄、基本的人権の保障などを定めた現行憲法を守り生かしていくことが、いよいよ重要になっています。

改憲も「壊憲」も許さず

 ここ数年、小泉純一郎、安倍晋三の二代の内閣のもとで進められた、憲法九条を中心にした「明文改憲」の策動は、国民の反対運動によって大きく後退しています。その後の福田康夫内閣も、現在の麻生太郎内閣も、公然とは改憲を言い出せなくなっています。

 もちろん自民党などの改憲勢力があきらめていないのは、憲法記念日を前にして、自民党が改憲手続き法にもとづく衆院憲法審査会の規程案を持ち出し、強行しようとしたことでも明らかです。改憲を許さず憲法を守り抜くことは、ひきつづき重要な課題です。

 同時にイラクやアフガンの戦争を支援するための自衛隊派遣や、「海賊」対策に名を借りたアフリカ・ソマリア沖への自衛隊派遣など、憲法を破壊する「壊憲」の策動を許さないことも課題です。

 昨年の憲法記念日の前日確定した名古屋高裁の判決は、イラクでの航空自衛隊の活動を憲法九条に照らして「違憲」と断じ、憲法前文の「平和的生存権」を具体的権利と認めました。イラクから自衛隊は撤退しましたが、インド洋やソマリア沖など、“すきあらば”と狙ってくる海外派兵の策動をやめさせることが不可欠です。

 全国各地で、米軍「再編」による基地と部隊の押し付けや、米軍機・自衛隊機による騒音被害などに反対するたたかいも広がっています。核も戦争もない世界を目指し、戦争を放棄した九条と、平和的生存権の規定を生かすたたかいが求められています。

 深刻な金融・経済危機の中で、国民の基本的人権を保障した一一条や、一四条が定める法の下の平等、二五条の生存権、二七条の勤労権、二八条の労働者の団結権などの決まりを守り生かしていくこともますます重要です。

 経済危機を理由に労働者が「派遣切り」「非正規切り」などによって仕事や住まいをも奪われ、生活に困っている人が生活保護の申請さえ受け付けられないなどというのは、憲法に照らし絶対に許されることではありません。「派遣切り」などにあった労働者が労働組合に参加し解雇の撤回を求めているように、憲法を生かしてこそたたかいを広げることができます。

国民の「不断」の努力で

 憲法が施行されていらい六十年以上日本が戦争に巻き込まれたことがなく、いまも憲法を生かして平和と国民の暮らしを守っていけるのは、国民のたたかいがあったからです。憲法九条を守る一点で結成された「九条の会」は、結成からわずか五年で全国に七千三百を超す組織がつくられています。

 憲法一二条は、憲法が定める自由や権利は、「国民の不断の努力によって」、保持されると明記しています。憲法を守り生かす、国民の自覚と責任が大切です。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp