2009年5月3日(日)「しんぶん赤旗」
“憲法9条守ろう”と各地で集会
瀬戸内・益川さん訴え 京都
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作家の瀬戸内寂聴さんや哲学者の鶴見俊輔さん、有馬ョ底さん(臨済宗相国寺派管長)らが代表世話人をつとめ、昨年六月に結成した「憲法9条京都の会」が二日、京都市東山区の円山音楽堂で「憲法集会」を開き、四千六百人以上が参加しました。始まってからも入場の列がつづき、入りきれない人であふれました。京都市役所前まで「憲法ウォーク」で行進しました。
瀬戸内さんが記念講演し、新たに「憲法9条京都の会」の代表世話人に加わったノーベル物理学賞受賞の科学者、益川敏英さんがスピーチしました。
瀬戸内さんは、物心がついたときから「非常時」と聞かされ、「正しい戦争」と信じ込まされる、日本人が中国人を虐げた北京での戦争体験などに触れ、「戦争はどんなに美辞麗句をつけても、すべて人殺しです。釈迦(しゃか)の教えは殺すなかれ、殺させるなかれ。生きている限り、私は戦争反対を貫く」と述べました。
益川氏は、黒人差別が強かったアメリカで、黒人の大統領が誕生したことに触れ、「これが五十年、百年の歴史の流れです。社会は進歩している」と語り、戦争がなくなる展望を強調。憲法の問題では、「憲法を変えようというのは、交戦権が欲しいから。九条改正が政治課題にのぼれば、必ず強い反対の声が起こると信じている」と訴えました。益川さんが「(戦争反対に)理屈をつけたいが、ただ僕は戦争がきらいなだけです」と締めくくると、大きな拍手がわきおこりました。
主催者代表で、隅井孝雄氏(京都ジャーナリスト九条の会)があいさつし、「憲法9条京都の会」の小笠原伸児事務局長が訴えました。
男性(31)=大阪府高槻市=は、「多くの人で、九条を守る運動の高まりを感じた。戦争する抜け道をつくらせないために、『戦争はきらい』と言い続けたい」と話しました。
奥平さんら招き集い 千葉
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千葉県習志野市で二日、イラク支援ボランティアの高遠菜穂子氏と「九条の会」呼びかけ人の奥平康弘氏を招いた「憲法九条の集い」が開かれました。「九条の会・ちばけん」と超党派議員による「九条の会・千葉地方議員ネット」の主催で約千五百人が参加し、ホール外やロビーのいすも満席となりました。
高遠氏はイラク戦争以降の米軍の無差別爆撃の実態を凄惨(せいさん)な写真や映像で紹介。自衛隊派兵で芽生えたイラク人の反日感情、日本人であることを隠し続けた自身の医療支援活動にもふれ、イラク市民による評議会の非暴力の交渉が停戦合意へ導いたことに「日本の憲法九条のにおいを感じた。日本人がやるべきことは今こそ九条を世界に発信すること」と語りました。
奥平氏は二〇〇四年に作家の大江健三郎氏らと結成した「九条の会」の運動を紹介し、各地の集会で「九条改悪を許さない」という思いが参加者の底流に地下水のように流れていると強調しました。
澤地久枝さん講演 栃木
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栃木県の「九条の会・栃木」は二日、「九条の会」よびかけ人で、ノンフィクション作家の澤地久枝さんを迎えた憲法集会を宇都宮市の県教育会館大ホールで開き、満席の千人が参加しました。
栃木市と周辺の自治体で活動する「大平山麓九条の会」からは約三百人が大型バス二台と乗用車に分乗して参加。男性は「改憲の動きに負けるわけにはいかないと思い、友人を誘って参加した」と意気込みを語りました。
澤地さんは「一人からはじまる」と題して講演。「理想を持って生きることが大切であり、その中心に『戦争をしない』という考えを据えることが大切です」と述べました。自覚した一人ひとりが、戦争放棄を定めた憲法九条、生存権を保障した二五条を守り、運動に参加することをよびかけました。
憲法についての講演会に初めて参加したという五十代の女性は「母親が経験した戦争中の苦労話を思い出しました。九条を守る気持ちを新たにしました」と語りました。
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