2009年5月5日(火)「しんぶん赤旗」
子どもの医療費助成
勝ち取った
全自治体実施 対象年齢拡大も
子どもへの医療費助成制度は、全自治体で実施されているものの、自治体によって対象年齢が「中学卒業まで」から「三歳未満まで」と大きな格差があることが本紙の調査で分かりました。「子どもの医療費を無料に」と取り組みをすすめている団体からは、「自治体任せにせず、政府の責任による国の制度の創設を」の声が上がっています。
本紙全国調査
「3歳未満」から「中学卒業」まで 大きな格差
調査は、四十七都道府県と十八政令指定都市の担当者に、今年四月一日の時点での通院、入院の助成対象年齢と年度途中からの助成拡大予定について聞きました。
助成対象年齢で最も高い「中学卒業まで」と答えたのは、通院では東京都、入院では東京都のほか、群馬、神奈川、愛知の三県とさいたま、横浜、川崎、静岡、浜松、名古屋の六政令市。
今年度中の拡大については、群馬県とさいたま市が十月一日から、入院に加え通院でも「中学卒業まで」助成対象年齢を広げると答えました。また神戸市は七月一日から、入院を「中学卒業まで」拡大する予定です。
助成対象年齢で最も多かったのは、都道府県、政令市ともに「就学前まで」。通院で三十一道府県十五政令市、入院で三十三府県七政令市にのぼります。
一方、「三歳未満まで」は、通院で五府県、入院で一県ありました。対象年齢の格差は、最大で十三歳あります。
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国の制度の創設を求める
新婦人会長 高田公子さん
新婦人は一九六八年以来四十年間、全国各地で「乳幼児・子どもたちの医療費を無料に」の運動に取り組んできました。医療団体などとも協力して、二〇〇一年四月、全自治体で助成をかちとりました。その後も対象年齢の引き上げ、自己負担の軽減、所得制限の撤廃などの改善を実現させています。東京都内の市町村では今年十月から、中学校卒業までの入院医療費は無料に(食事代は除く)、通院医療費は一回につき二百円と、自己負担額を減額させました。
国が制度としていないため自治体で大きな格差があります。“どの子も最善の利益”が保障されている子どもの権利条約にも反します。子どものアレルギー性疾患が増え、貧困化がすすむなか治療がうけられず、病状を悪化させる子どもが多くなっています。EUや北欧などは二十歳未満の医療費は無料です。日本で就学前までの医療費を無料にするには千五百億円もあればできます。自治体任せにせず、政府の責任による国の制度の創設を求めて力を尽くしています。
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