2009年5月6日(水)「しんぶん赤旗」
消費者庁の設置を行政にどう生かす?
〈問い〉消費者庁法案が成立の見込みです。日本共産党は今後の行政にどう生かしていく考えでしょうか。(大阪・一読者)
〈答え〉消費者庁は、消費者の権利の尊重という基本理念にのっとり、消費者利益の擁護を任務としています。悪徳商法などを規制する特定商取引法など消費者に身近な法律を所管するだけでなく、消費者被害などの情報を一元的に集約し、各省に必要な措置をとることを求めたり、自ら解決に乗り出すことができるようになります。
今後の課題は、消費者庁を実際に機能させていくことです。
いま悪徳商法の相談などに実際に応じているのは、地方自治体の消費生活相談の窓口です。ところが、それを支える地方の消費者行政の予算はピーク時の半分ほどです。相談員は十分な研修が保障されないうえ、待遇は官製ワーキング・プアと指摘される状態です。消費者に身近な法律が、消費者庁のもとで十分に活用されるためには、相談体制の充実が求められます。
衝撃を与えた中国製ギョーザの毒入り事件では、情報を一元的に把握し、それに基づく政府の対策を打ち出す“司令塔”―消費者庁の必要性がクローズアップされました。
その一方で事件が浮き彫りにしたのは、検査率1割という日本の輸入食品に対する貧困な検査体制でした。輸入食品の検査を担当しているのは厚生労働省ですが、他省庁もそれぞれ消費者行政の現場を担っています。
消費者庁が“司令塔”としての役割を果たすためには検査体制の拡充など、政府全体の消費者行政を消費者の権利とその利益の擁護のために働かせることが必要です。
政府案では、消費者庁の諮問機関として提案された消費者政策委員会が、衆院の修正合意で、消費者庁と各省の消費者行政を監視する組織として消費者委員会に格上げされたことは、その表れです。
日本共産党は、国会の常設委員会である消費者問題特別委員会で、消費者庁と政府全体の消費者行政が、その役割を果たしていくように国民・消費者とともに監視していきます。(山)
〔2009・5・6(水)〕