2009年5月12日(火)「しんぶん赤旗」
世界経済危機の背景と根源
不破社研所長 中国共産党との理論会談を報告
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日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長は十一日夕、党本部で世界経済危機をめぐる中国共産党との理論会談について報告しました。報告会は三日間の予定です。
今回で三回目となった日中両党の理論会談は、四月二十日から二十四日まで中国で行われました。
不破氏は、中国側が提起した「現在の国際金融危機とマルクス主義(科学的社会主義)」という主題にそった二十一項目の質問について、理論会談で答えた内容を順次紹介しました。
不破氏は、このなかで、国際金融危機の時代背景として、米国を中心とした資本主義の寄生性・腐朽性の一段の深まりや資本主義の支配領域の縮小による世界の力関係の大きな変化―などをあげました。
今回の経済危機の性格は、「危機の内容は過剰生産恐慌と金融危機の結合とみている。かたちは金融危機からはじまったが、その土台にあったのは、米国で蓄積されてきた生産と消費の矛盾、過剰生産恐慌だ」と指摘。米国で「サブプライム」住宅ローンなどによってつくり出された「架空の需要」が住宅バブルを生み、その不良債権を証券化してつくり出した世界的な金融バブルが爆発したのが今回の危機だと解明しました。
経済危機を分析するうえで「マルクスの理論が生きてくる」として、恐慌論や信用制度論の核心を紹介しました。このなかで、マルクスの恐慌論では、バブルの論理を明らかにした運動論が重要であり、その現代版が今回の住宅・金融バブルとその破たんにはっきりあらわれていることを指摘しました。
また、帝国主義論の角度からの現代資本主義のとらえ方や、資本主義の基本矛盾についてのマルクスの見地を紹介。現在の資本主義の基本矛盾をみる四つの角度として、(1)貧困の拡大と格差の極端化(2)発展途上国に自立的発展の道を提供できないこと(3)いまの世界経済危機(4)地球環境の破壊―をあげました。
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