2009年5月23日(土)「しんぶん赤旗」
厚労省指針
介護必要でも「非該当」
本紙入手 重度認定変更を抑制
介護保険の要介護認定では、従来「非該当」と一次判定された人の約七割が二次判定で重度に変更されています。これについて、厚生労働省の「要介護認定適正化事業」の中で、「非該当からの重度変更は、変更する理由等を慎重に吟味する必要がある」として、「介護が必要」な人であっても重度への変更を抑制するよう求めるマニュアルを作成していたことが本紙入手の内部文書からわかりました。「非該当」とされると介護保険のサービスを使えません。
「保険あってサービスなし」当然視
内部文書は「20070917」と日付が入った「要介護認定適正化事業マニュアル」。マニュアルは、その理由として「介護保険は、すべからく介護が必要になれば給付されるわけではなく、保険財政が有限であることから、介護が必要な者の内の一部に対して給付を行っている」などと説明。「財政」の論理から「保険あって介護なし」を当然視し、「介護が必要」な人からもサービスをとりあげるよう求めています。
厚労省は「適正化事業」を三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託して二〇〇七年度から推進。その事業で認定適正化専門員を市町村に派遣し、二次判定を行う認定審査会に「技術的助言」を与えてきました。マニュアルには「専門員限」と記されており、認定適正化専門員が使用したものとみられます。
本紙(五月六日付)が報じた厚労省の内部文書(〇八年三月十九日付)には、「要介護認定適正化事業」の実施に伴って約四十五億円の国費を「縮減」できるとの記述があります。今回明らかになったマニュアルと合わせれば、給付費削減のために、必要な介護までとりあげる事業が実施されてきたことになります。
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