2009年5月27日(水)「しんぶん赤旗」
ハンセン病基本法施行をどう考える?
〈問い〉4月にハンセン病問題基本法が施行されました。日本共産党はどう考えていますか。(熊本・一読者)
〈答え〉ハンセン病問題基本法は長年、国の誤った隔離政策で苦しめられてきた元患者の要求と運動で2008年6月成立しました。隔離政策による被害の回復として、国が元患者への福祉の増進、名誉回復に努めるとしました。また、国と自治体にたいして、医師、看護師の確保義務を定め、初めて療養所を地域に開放することができるとしました。
日本共産党は全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)、全日本国立医療労働組合(全医労)と懇談しながら、国会質問に取り上げ、療養所の視察などをおこなってきました。党国会議員団も07年、厚生労働省に▽医師定数割れの実態をふまえ必要な医療スタッフを確保する▽切実な介護員を増やし当直制度改善を図る▽在園保障のため療養所の将来構想を具体化する―などを求めてきました。
全国13カ所にある国立ハンセン病療養所の入所者は2609人、平均年齢は80・3歳です。高齢化が進み、聴覚障害や認知症が増え、さらに後遺症で手足の末梢(まっしょう)神経が損傷しています。このため、一人では食事やトイレ、着替えもままならず、一対一の介護が切実に求められています。
「基本法」へ期待が寄せられたのも、そのためです。
療養所の職員不足は、きわめて深刻な実態におかれたままです。にもかかわらず、療養所の職員定数は第10次に及ぶ国家公務員削減計画で371人も減員されました。必要な看護師、介護助士はさらに26人も欠員(09年)です。第11次計画も始まりますが、看護師や介護助士は除外し、必要な人数を確保すべきです。
療養所を地域に開放する将来構想の実現に国が責任を持つべきです。
療養所で著しい人権侵害がおこなわれた時代、命がけで改善に立ち上がったのは、日本共産党員でした。その歴史と実績を持つ党として、「基本法」の精神が生かされる社会の実現をめざします。(善)
〔2009・5・27(水)〕