2009年5月30日(土)「しんぶん赤旗」

生活保護停止は違法

障害者世帯に車必要

北九州市の処分取り消し

福岡地裁判決


 車の保有・利用を理由に生活保護を停止されたのは違法だとして北九州市門司区の峰川義勝さん(68)と妻久子さん(77)が市に処分の取り消しと慰謝料を求めた訴訟の判決が二十九日、福岡地裁(増田隆久裁判長)で言い渡されました。増田裁判長は「自動車による以外に通院等を行うことが極めて困難である。処分は違法」として停止処分を取り消し、慰謝料六十万円の支払いを命じました。


 判決などによると、峰川さん夫婦は体調を崩し二〇〇〇年十一月から生活保護を受給。所有する軽自動車を処分するよう繰り返し指示されました。「障害があり外出には車が不可欠」と応じないと、門司福祉事務所は〇四年八月、停止処分を決定。七カ月半にわたり支給を停止しました。

 増田裁判長は、車の所有について厚生労働省が定めた要件を満たしていたと判断。「直ちに保護を停止したのは違法な処分であった」として北九州市の過失も認めました。

 峰川さん夫婦と原告弁護団は判決後、福岡市内で記者会見を開きました。義勝さんは「感無量です。(車は)生きていくための命綱だった」と喜びを口にしました。

 弁護団によると、保護申請の際、車の保有が分かると厚労省の要件を満たしていても保護を支給しないと言われる実態が全国で後を絶たないといいます。

 平田広志弁護士は「障害者や母子家庭などで車がないと生活が送れない人が、生活保護か車かの選択を迫られている。今回の勝訴判決は保護行政の運用に重大な影響を与える」と評価しました。



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