2009年5月31日(日)「しんぶん赤旗」

年金 現役の50% 最初だけ

完全に崩れた「百年安心」

共産党 当初からごまかし批判


 厚生労働省が二十六日公表した、五年に一度の年金財政検証にかかわる資料で、二〇〇四年の年金改悪の際に政府・与党が掲げた「百年安心」という看板が完全に崩れていることが、改めて明らかになりました。(坂井希)


 〇四年改悪を強行した自民・公明両党は、“現役世代の賃金の50%は保障する”と大宣伝してきました。

 ところが“50%保障”は夫が四十年間会社員、妻が専業主婦のいわゆる「モデル世帯」だけで、共働き世帯や男子単身世帯などでは初めから50%を割り込むことが、今回の年金財政検証の資料でも裏付けられました。

 さらに、モデル世帯でも、「50%」は年金受け取りの最初だけで、給付水準は年をとるごとに低下し、四割台に落ち込むことがはっきりしました。

 資料によると、ことし六十五歳のモデル世帯夫婦が受け取る年金は、月二十二万三千円です。現役男子の平均手取り賃金(三十五万八千円)に対する割合(所得代替率)は62・3%です。

 ところが、十年後の七十五歳時点では、現役世代の名目手取り賃金が九万円増えて四十四万八千円になるのに、年金額は月二十三万二千円と、九千円増えるだけ。所得代替率は51・7%に低下します。八十歳以降になると四割台にまで下がります。(グラフ)

 今後年金を受け取るどの世代も、所得代替率の“50%保障”は最初だけで、軒並み四割台となるのです。

二度の改悪

 以前は、年金は物価や賃金の上昇に合わせ、給付額が引き上げられました。年金生活者の生活水準が落ちないよう年金の実質価値を維持するための優れた仕組みでした。しかし、一九九九年度に自民、自由(当時)、公明の三党が賃金スライドを凍結。現役世代の賃金水準が上がっても年金額に反映しない仕組みに改悪しました。

 さらに〇四年改悪では「マクロ経済スライド」が導入されました。これは、少子化による年金加入者の減少率と平均余命の伸び率を「調整率」と称し、賃金や物価が上昇しても、この調整率(二〇二五年度までの平均で0・9%)を差し引いた残りの率しか年金額を引き上げない仕掛けです。仮に物価が1%上昇しても年金額の上乗せは0・1%にとどめられ、年金の実質価値は年々下がることになります。

 一方、〇四年改悪により、年金保険料は二〇一七年度まで毎年上がり続けます。

抜本改革を

 日本共産党は、これらの年金改悪に厳しく反対しました。「給付水準は現役世代の50%を保障」という政府の宣伝についても「五割保障されるのは年金受給がはじまる時点だけ」だと小池晃議員が参院本会議(〇四年五月十二日)で追及するなど、当初からごまかしを批判してきました。

 日本共産党は、安心できる年金制度改革として、掛け金なしでも月額五万円の年金が受け取れる最低保障年金制度を全額国庫負担で創設し、この最低保障額に、掛け金に応じて給付を上乗せする抜本改革を提案しています。

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