2009年6月2日(火)「しんぶん赤旗」
地球も患者も泣いている
公害総行動 デモ・政府交渉
「なくせ公害 守ろう地球環境」を合言葉にした第34回全国公害被害者総行動が1日から2日間の日程で始まりました。「国民のいのちと健康を守れ!」「無駄な公共事業は見直せ」「最大の環境破壊となる戦争反対」などと、デモ行進する約600人のシュプレヒコールが東京・霞が関の官庁街をつつみました。
納得の枠組み環境相が約束
水俣病救済
全国から集まった公害被害者や環境団体の代表らが、「水俣病患者全員の救済」「大気汚染物質のPM2・5(微小粒子)のきびしい環境基準設定」「科学が求める温室効果ガスの削減目標の設定」などを求めて、斉藤鉄夫環境相はじめ関係省庁と交渉しました。
斉藤環境相は、水俣病公害被害者の訴えに「二度と悲しいことを繰り返してはならない。水俣病の公式確認から53年になるが、いまだに解決していない。解決を遅らせ、大きな反省をしている」と語り、すべての患者救済のため「納得していただける枠組みをつくりたい」と約束しました。
待ったなしの地球温暖化問題では、地球環境と大気汚染を考える全国市民会議(CASA)の早川光俊専務理事が「科学が求める温室効果ガスの中期削減目標の設定」を要求。環境相は、中期目標設定について「科学者の警告に沿うもので、野心的目標にしたい」と表明しました。
環境相に「チッソと国は、この苦しみ、人生を狂わせた責任をとってほしい」と訴えたのは、ノーモア・ミナマタ国賠訴訟原告団の女性(65)=熊本県水俣市=。「病気が悔しくて人目のないとき、泣きました。自殺を図ったことも何回もあります」と涙ながらに生い立ちを語り、救済を求めました。
大臣交渉初参加の泉南アスベスト訴訟原告団、新嘉手納基地爆音差止訴訟原告団も、石綿被害や米軍機騒音被害の実態をそれぞれ告発し、被害者救済と公害根絶を訴えました。全国公害患者の会連合会の田中久幸幹事らは、大気汚染被害者の救済制度やPM2・5の環境基準設定などを求めました。
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