2009年6月3日(水)「しんぶん赤旗」
憲法の理想 根付かせよう
「九条の会」が全国講演会
故加藤周一さんの志受け継ぐ
昨年12月に亡くなった「九条の会」呼びかけ人で、運動の牽引(けんいん)者として大きな役割を果たした評論家の加藤周一さんの志を受け継ごうと「九条の会講演会」が2日、東京・日比谷公会堂で開かれ、2千人を大きく超える人が参加しました。
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10日で発足から5周年を迎える「九条の会」。講演会では、同会呼びかけ人の井上ひさし、大江健三郎、奥平康弘、澤地久枝の4氏が講演、梅原猛、鶴見俊輔両氏がメッセージを寄せました。加藤さんのパートナーで評論家の矢島翠さんもあいさつしました。
井上さんは加藤さんの志を一つ拾い上げるとすれば「戦争で亡くなった友だちを裏切らないことだ」とのべ、「私にとっての親友中の親友である憲法9条、25条を裏切らないことが志を受け継ぐことだ」と発言。大江さんは、「知的で静かな」面影と9条の原理にたった加藤さんの提起を紹介しつつ、「憲法の原理を本当に守り、世界に認めてもらうならば、私たちの国と核兵器国の信頼関係を築くことはできるし、そういう状況が進展している」とのべました。
奥平さんは、東京裁判を題材にした木下順二氏の演劇を見た加藤さんが多くの観客に「日本人もまんざらじゃない」と語った体験を紹介し、「加藤さんを本当に満足させよう」と呼びかけました。澤地さんは、「加藤さんは若者と手をつなぐ方向を探っていた。呼びかけ人とこの集会の参加者が九条の会と若者とのきずなの役割を果たそう」とのべました。
矢島さんは、「世界の理想である憲法9条をゆるやかなネットワークのなかで根付かせることで遺志は達成される」とのべました。
また、梅原さんは「九条の会の精神が大多数の日本人の信念になることを願ってやまない」、鶴見さんは「この時代の戦争に立ち向かう、九条の会を起こすことが彼の志となった」とのメッセージをそれぞれ寄せました。
都内の私立大に通う男性は「加藤さんの最後の仕事が『老人と学生の共同』だという言葉をかみしめました」と感想をのべました。また、品川区で「九条の会」の運動をすすめる71歳と72歳の夫妻は「なんとしても会の活動を続けていかないといけないと決意を新たにしました」と語りました。
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