2009年6月3日(水)「しんぶん赤旗」

衆院本会議

国会の会期延長に対する

佐々木議員の反対討論


 日本共産党の佐々木憲昭議員が2日の衆院本会議で行った国会会期延長提案に対する反対討論は次の通りです。


 麻生総理は、安倍総理・福田総理と2代続いて政権を投げ出す前代未聞の異常事態を受け、昨年秋に政権の座に就きました。

 日本共産党は、貧困と格差を広げた「構造改革路線」をどうするのか、アメリカいいなりの自衛隊海外派兵を続けるのか、これら国政の基本問題を徹底審議したうえで解散し、国民の審判を仰ぐことを要求してきました。

 総理に就任して真っ先にやるべきは、解散・総選挙で国民に信を問うことでした。ところが麻生総理は、世論調査の支持率が芳しくないと見るや一転して解散を先送りし、「政局より政策だ」と言い出しました。

 そのため、本予算だけでなく3回も補正予算を組みました。しかし、金額だけは最大規模に膨らんだものの、財界奉仕・アメリカ追随という政治の基本は、まったく変わらなかったのです。そのため国民は、耐え難い痛みを押しつけられることになりました。

 一時的なばらまきの陰で、麻生内閣は、母子家庭の児童扶養手当のカットを無慈悲に続け、生活保護の母子加算・老齢加算も4月から容赦なく廃止しました。あまりにも冷たいではありませんか。

 高齢者の怨嗟(えんさ)の的となっている後期高齢者医療制度を続け、「応益負担」の名で自立を破壊する障害者自立支援法もそのままです。社会保障を毎年2200億円削減する方針も撤回しようとしていません。

 「給付金あとで回収、消費税」―この川柳が国民の共感を呼んでいるのをご存じですか。理念なきばらまき予算のツケが、消費税大増税で庶民に回されることを、多くの国民が気づいています。

 許し難いのは、会期延長で成立を図ろうとしているのが、海賊対処法案であり、憲法審査会規程だということです。

 海賊対処法案は、「海賊」を口実に自衛隊の海外派兵を拡大するものです。法案では、抵抗・逃亡する海賊への危害射撃、海賊行為を制止するための船体射撃を規定しています。日本から遠く離れたソマリア沖で、自衛隊が戦後初めて人を殺傷しかねないものです。しかも、法律ができる前に「海上警備行動」の名で、護衛艦、P3Cまで派遣しています。派兵恒久法につながる動きであり、絶対に容認できません。

 ソマリア海賊の取り締まりは、本来、周辺国の海上警察力によるべきものであり、日本はそのための財政的・技術的な援助を行うべきです。

 問題の根本的解決のためには、ソマリアの内戦終結をはじめ、崩壊したソマリアの国家とこの地域を政治的、経済的に安定させることです。国際的協力と外交努力こそ、憲法9条を持つ日本がやるべきことです。何が何でも自衛隊派兵ありきという発想は、撤回すべきです。

 「憲法審査会規程案」については、審査会を始動させて改憲原案づくりに着手し、国民投票法施行後に改憲原案の国会提出をいつでもできるようにすることを狙ったものであり、断じて容認できません。国民は憲法改正を求めておらず、改憲手続きを整備する必要はないのです。

 与党は、改憲手続き法が成立して2年たつのに憲法審査会が発足していないことが問題だといいますが、そもそも、改憲手続き法は、当時の安倍内閣のもとで自民党が目指す9条改憲の政治スケジュールにそって、強行成立させられ、憲政史上に重大な汚点を残したものです。

 「審査会規程」が未整備であることを問題にするのなら、むしろ、改憲手続き法そのものを廃止すべきであります。

 これらの悪法を通すための会期延長など、到底認めるわけにはいきません。速やかに解散・総選挙で国民に信を問うことを求めます。



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