2009年6月3日(水)「しんぶん赤旗」
地デジ化による混乱の責任はどこに?
〈問い〉地上デジタル化に伴い、「テレビが見られなくなる」という不安や混乱が生じています。日本共産党は、こうした事態をつくった責任はどこにあると考えますか。(山梨・一読者)
〈答え〉テレビ放送が地上デジタル(地デジ)に完全移行する2011年7月24日まで、あと2年に迫りました。期限までに地デジ対応のテレビに買い替えるか、チューナーをアナログテレビに取り付けなければなりません。このままアナログ波を打ち切れば、多くの「テレビ難民」が出るのではないかと懸念されます。
政府は、01年の国会に突然、「11年アナログ停波」を盛り込んだ電波法「改正」案を提出しました。これにたいして、自民、公明、民主、自由(当時)、社民の各党は、衆・参院各2日間という不十分な審議のまま強行しました。
日本共産党は、「アナログ放送の終了時期は、地デジ波のカバー率や普及率の達成条件によって決めるべきだ」との対案を示して反対しました。
政府は、地デジ移行の大前提として、テレビなど地デジ受信機の「全世帯普及」「1億台普及」を掲げてきました。ところが現在の世帯普及率は60・7%、普及台数は約5千万台と、まだ道半ばです。不況でテレビは売れず、共聴施設のデジタル改修も大幅に遅れています。
政府の対策も不十分です。NHK受信料免除世帯(約260万世帯)へのチューナーの配布を決めましたが、高齢者世帯や「ワーキングプア」世帯は対象外です。高齢者を中心に「きめ細かな説明・対応」をするとした「総務省テレビ受信者支援センター」(デジサポ)も、全国51カ所で、人員は300人程度です。
全都道府県で地デジ放送が始まったのは06年末でした。テレビの買い替えサイクルは約10年と言われ、「11年完全地デジ化」は、このサイクルを無視した無謀な計画だったのです。
日本共産党は、すべての国民が地デジ化へ円滑に移行できるよう計画の延期と、抜本的な弱者対策を求めています。(研)
〔2009・6・3(水)〕