2009年6月10日(水)「しんぶん赤旗」
「派遣切り」をやめると倒産が増える?
〈問い〉日本共産党は「派遣切り」をやめさせ、正社員化を求めています。これではいま以上に企業倒産が増えることになりませんか。(兵庫・一読者)
〈答え〉製造業などでの「派遣切り」の多くは、派遣先による派遣契約の中途解約や、派遣元による雇用契約途中での解雇という違法行為になっています。しかも偽装請負や違法「クーリング」、業務偽装などの違法行為を繰り返して、期間制限をこえて派遣労働者を使い回したあげくの「派遣切り」になっています。こうした違法行為を正さなければならないのは、当然です。
派遣労働は、(1)臨時的・一時的業務に限定する、(2)常用代替(正社員を派遣労働者に置き換える)にしてはならない―というのが原則です。違法行為をおこなった派遣先企業が派遣労働者を直接雇用、さらには正社員にするのは、労働者派遣法の趣旨です。
「派遣切り」「非正規切り」を進めている大企業は、「景気悪化で仕事がないから仕方がない」といいます。しかし、巨額の利益をため込み、株主への配当を続けています。内部留保も巨額にのぼります。雇用を維持し、派遣労働者を正社員にする体力は十分にあります。
この内部留保は、正社員を非正規労働者に置き換えて、労働者を搾りに搾りあげて手にしたものです。景気のよいときは非正規への置き換えでもうけ、悪くなったらモノのように使い捨てにする。突然の解雇通告によって職を奪い、寮から追い出し、路頭に放り出す。大企業のこんな横暴勝手を絶対に許すわけにはいきません。
大企業が競い合って大量解雇を進めるなら、家計消費の落ち込みをもたらし、さらに生産の減退や設備投資の減少となり、日本経済を雇用破壊と景気悪化の悪循環に突き落とすことになります。それは、企業の存立・発展を展望しても自殺行為となります。
大企業は、社会的責任を深く自覚して、違法な「首切り」を中止し、違法状態のもとで使用しつづけてきた派遣労働者を正社員にすべきです。(筒)
〔2009・6・10(水)〕