2009年6月11日(木)「しんぶん赤旗」
日本記者クラブ 志位委員長が講演
日本変える「旗印」 縦横に語る
核廃絶に向け国際的な世論と行動を
日本共産党の志位和夫委員長は10日、都内の日本記者クラブに招待され、21世紀の日本の「進むべき道」について大いに語りました。用意された座席数を上回る記者が出席し、核兵器廃絶の問題、総選挙後の対応など数多くの質問に、志位氏は時間を大幅に延長して丁寧に答えました。
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司会者から今回で10回目の登場と紹介された志位氏は冒頭、「自民党政治の古い枠組みが、世界と日本の変化に対応できなくなっており、大もとからの転換が求められている」と強調。今度の総選挙では、圧倒的多数の国民が政治への不満を表明する中、「どういう日本の将来像を目指すのか、各党が堂々と示してたたかい、審判を受けることが大事だと思う」と話しました。
その上で、日本共産党が掲げる「二つの旗印」―(1)国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」を築く(2)世界とアジアの平和に貢献する「自主・自立の平和外交」に転換する―を詳しく説明しました。
この中で志位氏は、日本共産党がこの間、雇用に対する社会的責任を果たせと日本経団連などと初の会談を行ったことや、核兵器廃絶をめぐる書簡を通じて米国政府とも公式の対話のルートが開かれたことにふれ、「財界・大企業との関係でも、アメリカとの関係でも、私たちが政権を担う党へと成長していくうえで、初歩的だが重要な一歩を踏み出したと考えている」とのべました。
質疑応答で質問が相次いだのが、核兵器廃絶問題です。「米大統領への書簡の次のアプローチは」と問われた志位氏は、当面、来年5月のNPT(核不拡散条約)再検討会議で、核兵器保有国に核兵器廃絶を達成する「明確な約束」を再確認させるために、「国際的な世論と運動を高めることが大事です。とくに、唯一の被爆国・日本でいかに世論を広げるかは、世界的な意義をもちます」と力説しました。
また、核実験を強行した北朝鮮に「核兵器を放棄させるには」との質問には、国際社会の一致協力した対応の大切さを強調。「6カ国協議こそ最良の枠組みだ。この枠組みに復帰させるという目標を見失ってはならない」とのべ、さらに、「国際的な核兵器廃絶の流れを強めることこそ、北朝鮮に核放棄を迫る一番強い力になる」と指摘しました。
志位氏は、核拡散を防ぐためにも、今こそ核抑止力論から脱却することが必要だとし、シュルツ元米国務長官も、いまや核抑止力論は通用しないとのべていることを紹介。NPTは、核保有国の核軍備撤廃への誠実な努力(第6条)を定めており、この履行がいま問われていると強調しました。
鳩山民主党に対する評価や総選挙後の政権協力について問われた志位氏は、自民党はもちろん民主党とも「政権協力の条件はない」と表明し、両党には、日本の進路についての「旗印」も、違いもないだけでなく、改憲、消費税増税、比例定数削減など共通部分に危険があると述べました。
その上で、志位氏は、日本共産党が躍進することは、自民・民主の両党による間違った方向への競い合いをやめさせる最大の力になると指摘。後期高齢者医療制度の廃止、労働者派遣法の抜本改正など他の党とも一致できる課題での積極的な提案を行い、「日本の政治を良くするために政治をリードする役割を果たしたい」と話しました。
最後に、「急増」する新入党員への対応を問われた志位氏は、この間、「派遣切り」にあった労働者との対話の経験などを紹介。少なくない国民が「構造改革」で痛めつけられ、そのうえ「自己責任」だと思わされているなかでは、国民に接する姿勢としても、党員に接する姿勢としても、「聞く力」が大事だと実感していると話しました。
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