2009年6月14日(日)「しんぶん赤旗」
妊婦健診の公費負担
自治体間に格差
15万円から1万円
国の責任で措置必要
妊婦健診の公費負担額の全国平均は妊婦1人当たり8万5759円で、自治体によって1万円台から15万円台までと大きな格差があることが、厚生労働省の調査で分かりました。ことし4月1日時点での全市区町村での実施状況を調査したもの。
都道府県別にみると、公費負担額(平均)が最も高いのは山口県で11万1127円。最も低い大阪府は3万9813円で、約7万円もの開きがあります。
市区町村別では、最高は北海道初山別村の15万円、最低は大阪府守口市の1万2500円でした。
公費負担(無料化)の回数は、全国平均で13・96回で、国が望ましいとする14回に近づきました。しかし、14回に満たない自治体もまだあるほか、一部の検査項目しか助成していない自治体もあり、金額にばらつきが出ました。
国は、出産費用の負担軽減を求める世論に押され、2008年度第2次補正予算に「妊婦健診の無料化(14回分)」を盛り込みました。ただし、これは2年間の時限措置です。しかも、財源の大半を占める地方交付税は使い道にしばりがないうえ、この間全体的に減らされてきました。財政難などを理由に14回分を全面無料化できない自治体が残る恐れがあることを、本紙は昨年12月1日付で指摘しました。今回の調査結果は、その指摘を裏付けるものです。
妊婦健診は母体と胎児の健康を守るためのものです。全国どこでも経済的な不安なく受けられるようにすることが急務です。政府は、自治体によって格差が生じないよう財政を措置し、国の責任で恒久的な無料化に踏み出すべきです。(坂井希)