2009年6月16日(火)「しんぶん赤旗」

車の温室ガス基準 消えた

自民の「低炭素基本法」原案

業界から圧力

自工会が「礼状」


 自民党が今国会に提出を予定している「低炭素社会づくり推進基本法案」(仮称)の党内手続きの過程で自動車業界の要望を受け入れ、原案にあった自動車に温室効果ガス排出基準を設ける文言を全面削除したことが15日、わかりました。


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(写真)自民党議員への日本自動車工業会からの礼状

 自民党は法案の構成案を11日の地球温暖化対策推進本部、低炭素社会形成推進プロジェクトチーム、経済産業部会、環境部会、農林部会、国土交通部会合同会議で決定、これを受けて同日の政調審議会で了承しました。

 同法案は、低炭素社会づくりを促すため、国、地方自治体、事業者、国民などの「役割分担と適正かつ公平な負担」を求めるなど、取り組みの基本を盛り込んでいます。原案に「自動車に対する温室効果ガス排出基準の設定」が含まれていたため、日本自動車工業会(会長・青木哲本田技研会長)はじめ自動車関連団体から削除を求める圧力が加わっていました。

 このため関係会合で了承を受けるのに先立って自民党側は問題の文言をそっくり削除したうえ、案文を提出。それでもなお11日の政調審議会では、出席議員から「法案の中身について、産業界との調整は済んでいるのか」との質問があり、政調幹部が「調整済みである」と答えるというやりとりの上で、了承された経過があります。

 自民党の党内手続きで了承されたのを受けて、日本自動車工業会からは、即日、名尾良泰副会長・専務理事名で自民党の関係議員に礼状が届けられました。

 「原案の段階で、『自動車に対する温室効果ガス排出基準の設定』が含まれておりましたが、お蔭(かげ)をもちまして、最終案から削除されました。その他、全体の構成についても当初の案に比して格段の改善が図られました。審議の過程で先生から賜りましたご尽力に心よりお礼を申し上げます」

 礼状は、業界が期待する方向で法案が修正、基準緩和された結果に満足している内容でした。自工会は2007年に自民党に対して8040万円の政治献金を拠出、各メーカーはトヨタの6440万円を筆頭に多額の献金をしています。

 自民党の環境問題に対する法案が業界寄りに作りかえられていく舞台裏が見えた格好です。



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