2009年6月17日(水)「しんぶん赤旗」
「足利事件」への償いをどう考える?
〈問い〉「足利事件」で無実の罪で服役していた菅家利和さんが釈放されました。この償いを日本共産党はどう考えますか。(茨城・一読者)
〈答え〉「足利事件」の再審を求める運動は、佐藤博史弁護士と一緒になって、国民救援会が長い間支援を続けてきました。国民救援会には日本共産党も加盟しており、今回の釈放も、冤罪(えんざい)事件をなくそうという粘り強い運動の成果が実を結んだものと喜んでいます。菅家さんを17年半も牢獄(ろうごく)に閉じ込めた政府の責任は、きわめて大きいものがあります。
第一は、菅家さんを虚偽の自白に追い込んだ最大の原因を取り除き、同じような冤罪事件の被害者を生まない制度的仕組みを直ちにつくることです。警察のでっち上げ捜査や長時間の脅迫的な取り調べ、検察の追随を許さないため、捜査と取り調べの全体をガラス張り(可視化)にすることが大事です。
日本弁護士連合会や日本共産党、その他の野党も取り調べの全面可視化を求めています。しかし政府や警察・検察は一貫して拒否し、取り調べの一部をビデオで撮ることで、全面可視化の要求をそらしています。政府が取り調べの全面可視化に踏み切ることこそ、菅家さんに対する償いとなるでしょう。
第二は、菅家さんの無罪の確定と賠償の実施です。早急に再審を開始し、菅家さんを速やかに無罪とすべきです。また賠償裁判を待たずに、政府として誠意を持って賠償すべきです。
死刑判決後に再審で無罪が確定し、1983年に釈放された免田栄さんは、いまだに年金が支給されていないと報道されています。菅家さんについても、獄中で年金手続きができなかったので、政府の責任で支給を開始し、生活を保障すべきです。
菅家さんは「当時の警察、検察に謝ってほしい」と強く求めています。当時の取調官は退職している可能性もあり、国家公安委員長、警察庁長官、検察庁の責任者である検事総長、いわゆる捜査機関の責任者が菅家さんに会って直接謝罪することが、事件を再発させないためにも大事だと考えています。(成)
〔2009・6・17(水)〕