2009年6月18日(木)「しんぶん赤旗」
新しい国会で三つの仕事にとりくむ
日本共産党の前進こそ、希望が持てる新しい日本をつくる道
志位委員長の訴えから
日本共産党の志位和夫委員長が、この間、東京都や全国各地の演説会でおこなった訴えの一部を紹介します。
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志位委員長は、「今度の総選挙は、21世紀の日本の『進むべき道』が問われる歴史的選挙です。いま世界も日本も大きな激動と変化の時代に入っています。これまでの自民党政治の古い枠組みでは、経済でも、外交でも、新しい時代にいよいよ対応できなくなっています。麻生・自公政権が国民から見放されて、末期的状態に陥っているのは、そのことを象徴しています。それにかわる21世紀の日本の『進むべき道』はどうあるべきか。日本共産党は、『二つの旗印』を高く掲げて総選挙にのぞみます」と演説を切り出しました。
そして、(1)「国民の生活と権利を守る『ルールある経済社会』を築く、そのために異常な財界・大企業中心の政治を変える」、(2)「憲法9条を生かし、世界とアジアの平和に貢献する『自主・自立の平和外交』に転換する、そのために『軍事同盟絶対』の政治から抜け出す」という日本改革の展望について縦横に語りました。そのうえで、演説のむすびに、志位氏はつぎのように訴えました。
古い枠組みの中での「政権選択」でなく、21世紀の日本の進路の選択が問われる
この選挙は、「自民か、民主か」の「政権選択」の選挙だと、よくいわれます。しかしこの二つの党は、21世紀の日本の「進むべき道」について、国民の前に示す「旗印」があるでしょうか。
自民党は、この日本の進路をどうするか、もはや何の「旗印」も示すことができません。自民党の国会議員の中からは、「わが党には掲げるメッセージが何もない」「旗印がない。あるとすれば白旗だけだ」といった嘆き節が聞こえてくるだけです。
民主党は、「政権交代」を一枚看板にしています。それでは「政権交代」をして何がしたいのか。「官僚をやっつける」といいます。それでは「官僚をやっつけて」、この日本をどうするのか。日本経済をどうするのか。日本外交をどうするのか。「民主党政権」が何をめざし、どういう日本をめざすのかは、さっぱり見えてきません。
自民も、民主も、国民の前に21世紀の日本の進路をどうするかの「旗印」を示すことができない。それはこの二つの党が、「財界中心」「軍事同盟絶対」という政治の大本で、一方はその担い手の党であり、他方も同じ流れにあるからです。行き詰まった古い枠組みのなかで、どちらが政権の担い手になろうとも、日本の未来は開かれません。
今度の選挙に問われている選択の焦点は、古い行き詰まった政治の枠組みのなかで、どちらが政権につくかというちっぽけな選択ではありません。21世紀の日本の「進むべき道」はどうあるべきかという大きな選択が問われているのです。そして、日本共産党こそ、その道を堂々と示す党だということを訴えたいのであります。
国民の願いを実現するリード役――積極的提言で国政を動かす
日本共産党を伸ばしていただければ、私たちは、新しい国会でつぎの三つの仕事にとりくむことを、お約束します。
第一は、国民の願いを実現するリード役です。私たちは、自民党はもとより、民主党とも、政権協力をおこなう条件はありません。消費税の問題、憲法の問題など、国政の根本で立場が違うからです。
同時に、日本共産党が前進・躍進を勝ち取れば、新しい国会で、国民の立場にたった積極的提言をおこない、その実現のために、協力できる問題では、問題ごとに協力していく立場を貫きます。
たとえば、労働者派遣法の抜本改正をおこなう。後期高齢者医療制度を撤廃する。障害者自立支援の名での障害者福祉への応益負担の持ち込みをやめさせる。食料自給率の抜本的向上をめざし、農産物の価格保障・所得補償をおこなう。どんな問題でも、国民の立場で積極的提言をおこない、国民の願いを実現するリード役をはたしたいと決意しています。
「二大政党」による悪政のストップ役――暗黒政治への逆行許さない
第二は、自民党と民主党による、間違った政治の競い合いの危険に正面からたちはだかり、そのストップ役としてがんばります。
自民、民主の「二大政党」の問題点は、この両党に政治の中身の「違いがない」というだけにとどまりません。両党の共通部分こそ問題なのです。共通部分にこそ危険があることを、ぜひ見極めていただきたいのです。
自公の政治があまりにひどいために、民主党に「藁(わら)をもつかむ」思いで、自公政治反対の願いをたくそうとする方もいるでしょう。しかしこの「藁」はつかんだらずぶずぶと沈んでしまうということを、率直にお伝えしたいのです。
たとえばいま自公政権が消費税増税を打ち出したことが大問題になっていますが、2004年の参院選で、「年金財源のため」として3%という引き上げ幅まで提示して消費税増税の先導役を果たしたのは民主党であり、民主党はこの立場はいまでも変えていません。
憲法改定でも、自民党は、『新憲法草案』を発表し、憲法9条2項を削除して、自衛軍を書き込み、海外で戦争をする国づくりをめざすことを公然と明らかにしていますが、民主党の鳩山代表も、自らの『新憲法試案』で、同じく憲法9条2項を、「もっとも欺瞞(ぎまん)的な部分」と敵視して削除し、自衛軍を書き込み、海外で戦争をする国をつくるという点では、まったく同じ主張をのべ、憲法改定を競い合っています。ソマリア沖への自衛隊派兵は、民主党議員の提案から始まりましたが、この党が日本の政界のなかで最もタカ派的なグループを抱えていることも事実です。
それから、民主党が衆院比例代表の定数を80削減する提案をおこなっていることは、大問題です。いまの小選挙区比例代表並立制のなかで、唯一民意を反映する部分である比例代表の定数を半分にし、いずれはなくしてしまおう。これが鳩山代表の持論ですが、これは、「国会には民主党と自民党さえあればよい。共産党も、公明党も、社民党もいらない」というにひとしいものです。実際、07年の参議院選挙の比例得票で試算すると、かりに比例定数が80削減されれば、自民・民主の「二大政党」が67・6%の比例得票率で、議席の95・3%を占めることになります。共産党をはじめ他の政党は、32・4%の比例得票率で、議席はわずかに4・7%しか獲得できません。こんな議会制民主主義を覆す乱暴きわまる動きは、絶対に許すわけにはいきません。
このように自民、民主が競い合って、暮らし、平和、民主主義を壊す暴走をしようというときに、これに正面からたちはだかることができる政党が日本共産党です。日本の政治を暗黒政治に逆戻りさせないためにも、私たちが躍進することが、日本の未来にとってどうしても必要だということを訴えたいのです。
「国民が主人公」の民主的政権にむけ、新たな国民的共同を探求・前進させる
第三は、日本共産党を伸ばしていただいたら、「国民が主人公」の民主的政権にむけて、新たな国民的共同を探求、前進させていきたいということです。
いまの情勢を見ますと、世界でも日本でも大きな激動と変化の時代に、私たちは生きています。これまでのような「財界・大企業中心」、「軍事同盟絶対」の政治では、いまおこっている時代の変化に対応することができない。新しい時代にふさわしい、新しい政治が求められているのであります。
私たちは、450万人が参加する全国革新懇運動という、「国民が主人公」の日本をめざす連帯と共同の運動の一翼を担っていますが、この運動は国民運動の各分野、各界の知識人の方々、経済界の重鎮をつとめている方々など、幅広い政党・団体・個人が集い、大きく前進しつつあります。
きたるべき総選挙で、日本共産党が前進・躍進すれば、激動の時代に、「国民が主人公」の民主的政権―民主連合政府をつくる新たな一歩を踏み出す展望が大きく開けてくるでしょう。みなさんの大きなご支持を心から訴えるものです。
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