2009年6月25日(木)「しんぶん赤旗」
学費値上げ示唆の財政審建議
「受け入れがたい」
「経済的支援 飛躍的充実を」
国立大学協会が所見
国立大学協会(会長・濱田純一東京大学長)は24日、国立大学運営費交付金の削減などを盛り込んだ財政制度等審議会(財政審)の建議(来年度予算編成についての基本的考え方、3日発表)について、「考え方の基調は受け入れがたい」とする所見を発表しました。
建議は、個々の大学の「自己収入の確保」を求めるなかで、「授業料設定の多様化」にふれ、授業料の引き上げを示唆しています。これにたいし、国立大学協会の所見は、いまの経済情勢のもと、格差の固定化が懸念され、経済的理由によって大学進学・修学を断念する層が存在している事実に、財政審は目を向けていないと批判。特に、次の四つの事実に目を向けるよう求めています。
(1)日本の高等教育への支出における私費負担の割合(66%)は、OECD(経済協力開発機構)諸国平均(27%)を大きく上回っている(2)日本の国立大学の授業料は過去30年間で大きく上昇し(15倍)、実質的に世界最高水準になっている(3)家計の収入の高低により、大学進学率に大きな落差が存する(ある調査では、低収入層の進学率は高収入層の半分にとどまる)(4)学生への経済的支援は極めて貧弱(たとえば給付制奨学金の比重はOECD諸国中、最低水準)である―。
所見は、こうした事実を踏まえて、「運営費交付金を拡充し、授業料・入学料標準額を減額するとともに、国公私立を通じ、給付型奨学金を創設するなど、経済的支援の飛躍的充実を図るべきである」とのべています。また、これらの施策が、「少子化対策の一翼を担うものである」としています。
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