2009年6月27日(土)「しんぶん赤旗」
母子加算復活を 共産党 論戦リード
参院本会議で可決
今年4月から全廃された生活保護の母子加算を復活させる法案が26日、参院本会議で野党の賛成により可決されました(自民、公明は棄権)。同法案は野党4党が共同提案したものですが、日本共産党は早くからこの問題を追及。全国の運動と結び、廃止撤回を求める論戦をリードしてきました。
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小泉政権時から
母子加算廃止の動きは、小泉政権による社会保障費削減路線の中で具体化が始まりました。
2003年6月に閣議決定された「骨太方針」は、生活保護について「制度、運営の両面にわたる見直しが必要」と明記。財務省の財政制度等審議会も「生活扶助基準・加算の引下げ・廃止」が必要だとし、老齢加算(70歳以上対象)と母子加算の廃止を求めました。
これらを受け、厚生労働省は社会保障審議会福祉部会に見直しのための専門委員会を設置。同委の論議では「母子加算は必要」という意見が多かったにもかかわらず、厚労省は何度も加算廃止を提案しました。
「何で繰り返し母子加算の縮減の方向を打ち出すのか」―04年11月2日の衆院厚生労働委員会で、日本共産党の山口富男議員(当時)がこの問題を取り上げました。“一般母子世帯とのバランス”を口にする厚労省に対し、「母子世帯自身が低賃金で所得が低い。その平均と比べるというのは本末転倒だ」と批判しました。
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廃止の根拠追及
政府が05年4月から段階的縮減を強行して以降、日本共産党は小池晃参院議員などが繰り返し質問で取り上げ、縮減・廃止の撤回を求め続けました。大きな反響を呼んだのは志位和夫委員長の衆院予算委員会(07年2月13日)での質問です。志位氏は4人の子を持つ母子家庭の母親の切実な声を紹介し、「母子加算があってこそ初めて(憲法25条のいう)最低限度の生活が保障される」「母子家庭の命綱を断ち切る仕打ちは冷酷無情というほかない」と厳しく批判しました。
同年4月23日の参院決算委員会での小林みえこ議員(当時)の質問では、政府が母子加算廃止の根拠としている一般母子世帯の平均消費支出額とは、わずか32世帯という少ないサンプルから導き出されたものだと追及。政府にこの事実を認めさせ、加算廃止の不当性を浮き彫りにしました。
今国会では、全廃された4月1日の衆院厚労委員会で高橋ちづ子議員が、対象が10万世帯以上に広がっている事態を示し、「これ以上生活を切り詰めるところはないのだと頑張っている全国の母子世帯を打ちのめす今回の削減は、きっぱりやめるべきだ」と要求。そのほかの党議員も「15兆円にものぼる補正予算を組むなら母子加算を真っ先に復活させるべきだ」「ムダな大型公共事業を削れば予算はある」など、加算復活を求めました。
こうした連続追及が世論や運動と結んで、他党にも影響を与え、今国会での野党4党による法案の共同提出となりました。「国民の願いを実現するリード役」(志位氏)であることを実際に示しました。
母子加算 一人親世帯が子どもを育てるには追加的な費用が必要だとして、18歳までの子どもがいる母子・父子家庭などの生活保護費に上乗せして支給されていました。加算額は地域によって違い、東京23区で子ども1人なら月額約2万3000円(04年)でした。05年度から段階的に廃止され、16〜18歳の子がいる世帯は07年度、15歳以下の子がいる世帯は09年度に全廃されました。削減総額は204億6千万円。廃止取り消しを求め、京都、広島、青森、北海道で12人が裁判を起こしています。
児童扶養手当
父子家庭支給 一貫して要求
現在は母子家庭に限定されている児童扶養手当について、父子家庭も支給対象とする児童扶養手当法改正案が26日、参院本会議で日本共産党など野党の賛成により可決されました。
日本共産党は、2002年11月に小沢和秋議員が衆院厚生労働委員会で「父子家庭でも、困窮しているところには手当を支給するのは当然ではないか」と質問するなど、一貫して要求してきました。
昨年6月には佐々木憲昭衆院議員が政府に質問主意書を提出。低賃金や不安定雇用が広がるもと、父子家庭も母子家庭と同様、経済的に厳しい状況に置かれていると指摘し、法改正を求めました。
今国会でも佐々木議員や山下芳生参院議員が質問で当事者の生の声を取り上げ、法改正を強く求めました。
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