2009年6月28日(日)「しんぶん赤旗」
「国連の役割」を重視
貧困・不公平の克服へ
サミット閉幕 成果文書採択
【ニューヨーク=小林俊哉】26日に閉幕した国連の世界金融・経済危機と開発に与える影響に関する会議(世界経済危機サミット)は、国際金融・経済の改革における「国連の明確な役割」を重視する成果文書を採択しました。
世界の多数を占める途上国を除いた主要8カ国(G8)やG20による改革論議への不満を反映し、成果文書は「貧困と不公平を克服し、より包括的で、公正で、バランスが取れ、持続可能な経済発展を実現するために、すべての国の利益になる方法」による改革を呼びかけました。
文書では途上国の大半は、経済刺激策を行おうにも財政的余地がないと指摘。「途上国に十分な資源が行き渡るよう既存の仕組みを再検討する」ことの重要性を強調しました。また、先進国が政府開発援助(ODA)を削減しないよう要求。G20に対して「途上国の金融的なニーズにさらに対応することを検討するよう求める」と強調しました。
今回の危機の原因に「金融規制の大きな失敗」があると指摘し、再発防止に向け、「ブレトンウッズ機関(国際通貨基金=IMF=、世界銀行)の運営をさらに改革する緊急の必要性を強調する」とし、改革では「新興国や途上国の参加を強化すべきだ」と求めました。
米ドルに代わる新たな準備通貨システムの実現可能性についても、「検討を求める多くの国の声を認識する」としました。
文書の採択後、会場は拍手に包まれましたが、米国の代表が会場から、国際金融機構の改革は国連の権限ではないと発言し、会場を沈黙させました。
一方、欧州連合(EU)を代表して発言したチェコの代表は、文書の採択を歓迎すると表明。会場が拍手で応えました。
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