2009年6月30日(火)「しんぶん赤旗」

水俣病被害者救済に関する
日本共産党の法案大綱


 日本共産党が29日発表した「水俣病被害者救済に関する日本共産党の法案大綱」は次の通りです。

 すべての水俣病被害者を最高裁判決の水準で救済するため、公害健康被害の補償等に関する法律(公健法)を一部改正し、次の事項を盛り込むこととする。

I、最高裁判決に基づく認定基準及び認定資料を明文化する。

 国は、最高裁判決によって否定された国の認定基準(52年判断条件)に固執し、「二重の基準」の抜本的見直しを拒否している状況で、公害健康被害補償法を改正し、最高裁判決に基づく認定基準及び認定資料によって水俣病認定被害者を補償することにする。

 新たな認定基準は、下記のうち一つでも条件を満たす者であること。

(1)四肢末梢(まっしょう)優位の表在感覚障害を認める者

(2)全身性の表在感覚障害を認める者

(3)口の周囲の感覚障害を認める者

(4)舌の二点識別覚の障害を認める者

(5)求心性視野狭窄(きょうさく)を認める者

 とし、6カ月以内に施行するものとする。大脳皮質障害による知覚障害、精神障害又は運動障害、及び胎児性水俣病については医学的知見に基づいて早急に追加する。認定資料は、司法における共通診断書及び主治医の診断書等とする。

 国は、認定基準の見直しに基づいて最高裁判決水準の被害補償を完遂させるために、水俣病被害者と加害企業チッソおよび昭和電工との新たな補償協定を締結させる。

 最高裁判決で断罪された加害企業チッソ、国及び県の責任は補償協定に明記する。

II、被害地域の健康・環境調査及び健康影響等の調査研究の実施を明記する。

 これまでの公害健康被害補償法認定申請者、訴訟原告、新保健手帳交付者、医療費受給者と、95年の政治解決時の救済者だけで、4万数千人にのぼり、これは公健法指定地域の人口約13万人の3割になる。いまなお、不知火海沿岸でも新潟水俣病の阿賀野川流域でも声をあげられないでいる被害者が多数おり、胎児性や、小児性の世代へも広がっている。

 すべての被害者を救済するために不知火海沿岸、阿賀野川流域の住民の健康調査、環境調査を実施し、水俣病被害の実相を明らかにし、最高裁判決に基づいた認定基準で全面的に救済する。また、メチル水銀曝露(ばくろ)による健康影響及びこれによる症状治療等の調査研究を実施し、大脳皮質障害による知覚障害、精神障害又は運動障害や、胎児性水俣病などの被害者救済をすすめる。

III、公聴会等を開催して被害者、専門家の意見を聴取することを明記する。

 すべての水俣病被害者を救済するために、新たな認定基準や補償水準等の立法措置、被害地域の健康調査や健康影響の調査研究等の実施にあたっては、地元での公聴会や、長年研究、診察にあたってきた研究者、医学者の意見を聴取することとする。



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