2009年7月1日(水)「しんぶん赤旗」
大企業が内部留保増
労働経済白書異例の指摘 賃金に向けられず
厚生労働省が30日公表した2009年版労働経済白書は、日本の大企業(資本金10億円以上)は内部留保や株式配当を増やしたが、賃金は増やさなかったと分析しました。同白書が内部留保に言及してこうした指摘を行うのは異例。
白書は、昨年秋からの景気後退が深刻化した理由について、外需主導の成長が所得向上につながらないままだったことに加え、アメリカの金融不安で大きな経済収縮が引き起こされたと指摘。今後の展望として、経済収縮のもとでも雇用の安定を確保する「長期雇用システム」が基本だとの認識を示しました。
白書は、日本の大企業では、利益剰余金が2000年度の88兆円から07年度の135兆円に増えるなど、内部留保が増加していることを指摘。同時に、株主への配当は増やしながら、「賃金の支払いに向かう部分はあまり大きくなかった」と述べています。
こうした賃金低下傾向の原因として、小規模事業所(5人〜29人)で05年から連続で賃金が低下するとともに、低賃金の非正規労働者が増加していると分析。国内需要を回復させるために、所得増加と格差縮小などが必要だとしています。
また、非正規労働者の解雇、雇い止めについて、「増加テンポは、過去の景気循環と比較しても著しく大きい」と述べ、若年不安定就業者の正規雇用化が労働政策の主要課題だとしています。
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