2009年7月3日(金)「しんぶん赤旗」
水俣病法案 自公民が合意
チッソ免罪・患者切り捨て
きょう衆院通過狙う
5団体が抗議声明
自民、公明、民主3党は2日、政調会長、国対委員長の会談で、水俣病被害者を切り捨て、加害企業チッソを免罪する「水俣病特別措置法案」について、「チッソ分社化」を盛り込んだ修正案に合意しました。民主党が「分社化」に応じる姿勢に転じ、「分社化」で捻出(ねんしゅつ)した救済費用で一時金を支払うというものです。3党は3日の衆院通過をねらっています。
日本共産党の志位和夫委員長は2日の記者会見で「加害企業の免罪になる内容であり、到底認められない」と強調しました。
水俣病不知火患者会など患者団体やノーモア・ミナマタ国賠訴訟原告団など5団体は2日、「チッソが水俣病の加害責任から逃れることを容認し、被害者の大量切り捨てによる幕引きを行うものだ」とする「緊急声明」を発表し、抗議を表明しました。
修正案は「チッソ分社化」の環境相認可について、同社が「一時金の支払いに同意するまで」と条件をつけましたが、多額の債務がある加害企業チッソの会社清算・消滅などによる責任逃れの歯止めにならないものです。
修正案は、与党案にあった「3年」という期限つき救済が「当分の間」とますます不透明になりました。法案は公害健康被害補償法にもとづく国の判断条件をみたさない被害者の救済を対象としています。手足や全身の感覚障害がある人や、口・舌の感覚障害・視野狭窄(きょうさく)などの症状はメチル水銀が原因である場合が「救済」対象と、一部修正されました。与党は1995年の政治決着の2倍以上に広がるなどと説明していますが、救済される被害者の実数はまったく不透明で、すべての水俣病被害者の救済とはいえない内容です。支給する一時金の額は同法成立後に政令で示すとしています。
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