2009年7月4日(土)「しんぶん赤旗」
水俣病法案が衆院通過
患者切り捨て 自公民が審議抜き強行
水俣病患者を切り捨て、加害企業チッソを免罪する「水俣病特別措置法案」が3日、自民、公明、民主の賛成多数で衆院を通過し、参院へ送付されました。日本共産党、社民党は反対しました。自公民3党は7日の参院環境委員会で採決し、来週中にも成立させる構えです。
同法案は自公民が一部修正しただけで2日に合意。直ちに衆院環境委員会、本会議を立て続けに開催し、質疑もおこなわず衆院を通過させる異常なやり方をとりました。
国会を傍聴した水俣病被害者らは「審議もしないで、被害者の救済ではなく加害企業チッソを免罪する法案を採決したことに怒りを覚える」と、抗議の声をあげました。衆院議員面会所で開かれた要請行動には、日本共産党の赤嶺政賢、笠井亮両衆院議員が出席し、「水俣病被害者の願いを踏みにじるもの」と批判しました。
同法案が盛り込んでいる「チッソ分社化」は、補償会社となる親会社と、利益をあげている液晶部門などの子会社とに分けるもの。親会社のチッソが消滅すれば、救済の道が閉ざされ、加害企業の責任が免罪されることにもなります。また、法案7条で「3年以内を目途」にと救済の期限を区切り、救済の幕引きを打ち出しています。
すべての被害者の救済にはならない
こくた氏強調
日本共産党の、こくた恵二国対委員長は3日、国会内で記者団の質問にこたえ、衆院を通過した「水俣病特別措置法案」について「最大の問題は、すべての被害者を救済することになっていないことだ」と強調しました。
さらに、「チッソの分社化を前提としており、加害企業を免罪するものだ。水俣病の幕引きにつながりかねない」と批判。「参院の審議で、日本共産党は修正案を出してたたかっていきたい。水俣病被害の実相を明らかにし、被害者の声を真摯(しんし)に聞くという根本からの議論が必要だ」と述べました。