2009年7月4日(土)「しんぶん赤旗」
教育費の負担減提案
文科省有識者懇 幼児・低所得層支援
文部科学省の有識者による「教育安心の実現に関する懇談会」は3日、教育費の家計負担軽減について報告を出しました。幼児教育の無償化や低所得者の家庭に対する施策を提案しています。
教育費に占める家計負担の割合が大きいことをあげ、家計負担軽減に向けて低所得層を重点的に支援する方向性を示しました。幼児教育から大学院までの各学校段階すべてについての教育費の負担軽減を述べたのは初めてです。
低所得層は生活保護世帯とそれに準じた世帯を想定し、年収では約350万円以下との基準を示しました。
3〜5歳児を対象とした幼児教育の無償化、小中学校の就学支援を提示。高等学校では、低所得層への入学金や教材費の支援、授業料減免の拡充、私立高校生の負担軽減を提案。大学学部では低所得層に対する授業料減免の拡充を提唱。大学院においては給付型支援の拡充を提言しました。
これらの施策に必要な予算も試算しており、国立大学の授業料減免の拡充には約58億円を示しています。
教育費負担軽減の報告の背景には経済的困難な家庭の増加、経済的理由で退学する学生の存在などにより、教育費の家計負担の軽減を求める世論が広がったことがあげられます。
報告は教育費負担について「社会全体で分担すべき」だとの考え方を示し、2010年度予算概算要求に反映させる方針です。塩谷立文科相は「財源は消費税もある」と述べました。