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2009年7月4日(土)「しんぶん赤旗」

「かんぽ」施設→住友不動産

不可解な一等地取引

西川社長の出身グループ

業者“50億円とは安い”


 「かんぽの宿」の一括譲渡など国民財産のたたき売りなどをめぐって、鳩山邦夫前総務相の更迭にまで発展した「日本郵政」の西川善文社長の進退問題。国民の批判が高まっているなか、麻生内閣は続投を認めましたが、西川社長の出身母体のグループ企業がらみの不可解な不動産取引が新たにわかりました。


 問題の不動産は、JR池袋駅東口から徒歩8分の一等地にある東京都豊島区東池袋の「旧かんぽヘルスプラザ東京」。正式名称は、「東京簡易保険総合健診センター」で、簡易保険加入者向けの健康診断や人間ドックのほか、宿泊施設や会議室、レストランも備えた健康総合施設として1994年1月に完成しました。

 2007年10月、郵政民営化のため閉鎖。約2000平方メートルの土地と建物(地上7階、地下3階)は、郵便局株式会社に継承されました。

国民に隠す

 ところが、その後、この土地が、西川氏が頭取を務めた出身母体、三井住友銀行のグループ企業である住友不動産に50億円で、事実上売却されていたことがわかりました。

 問題は、この経過です。

 昨年5月14日、総務省は、「郵便局株式会社の重要な財産の譲渡の認可」という文書を発表しました。同年4月28日、郵便局会社から出された土地譲渡についての申請を半月後に認可したもので、譲渡時期は「5月以降」、相手方は「未定」となっていました。

 登記簿謄本によると、昨年8月8日、土地は三菱UFJ信託銀行に「信託」という形で所有権が移転しています。

 ことし4月7日の衆院総務委員会で、西川社長は、不動産開発の共同事業者として選定した住友不動産に三菱UFJ信託銀行の信託受益権の7割を譲渡したことを初めて明らかにしました。

 日本郵政でこの物件を担当した三井不動産出身の清水弘之執行役は、同委員会で、昨年8月8日に、住友不動産と受益権譲渡の契約を行い、その価格は50億円で、すでに払い込まれていることを明らかにしました。

 「重要な財産」=国民の財産の譲渡先を国民には、「未定」としていたのに、約3カ月後、ひそかに、西川社長と関係の深い大手不動産会社に売り渡していたのです。

利益ぼう大

 この土地は、「池袋副都心」再開発計画のグリーン大通り沿道エリアに隣接、地下鉄有楽町線「東池袋駅」も徒歩2分など、恵まれた立地条件にあります。再開発すれば、ぼう大な利益が見込まれます。

 近くの不動産業者は「ビックカメラが買うという話は聞いたことがあるが、住友不動産が買っていたとは知らなかった。50億円ということは、坪(3・3平方メートル)800万円ちょい。(売却を)オープンにしたら1000万円は超す。マンションでなくても、オフィスビルでもいい。住友にしたら高い買い物ではない」と話していました。

表


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