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2009年7月5日(日)「しんぶん赤旗」

都立病院への企業参入

医療と無縁 大企業落札

共産党、再検討迫る/ 自民・民主、だんまり/公明、礼賛


 安全上の重大なトラブルが相次いでいる都立病院の企業参入(PFI)事業で、大手商社の三菱商事だけでなく、大手ゼネコンの清水建設や、石油備蓄会社の日揮という、医療とは無関係の大企業も落札していたことが4日、わかりました。入札の不透明ぶりも浮かびあがっています。(今田真人)


 都立病院のPFI事業は、四つの都立病院で進められています。すでに全事業で入札が終了しています。(表)

 最初の入札は府中病院と小児3病院の事業です。2006年1月、鹿島建設、清水建設、三菱商事の3社が入札に参加、清水建設が2490億円余で落札しました。

 2回目は駒込病院。07年3月、三菱商事1社だけが参加、1861億円余で落札。「総合評価一般競争入札」というものの、事実上、無競争の不透明な入札でした。

 3回目は松沢病院。08年3月、三菱商事が途中で入札を辞退したため、日揮1社の参加になり、無競争で日揮が735億円余で落札しました。

 医療のノウハウがない大企業がなぜ病院経営に参加できるのか――。

 都の担当者は「入札参加資格では業種を区分せず、どんな業種の企業も参加できるようになっている。都側の審査で、入札参加企業には病院経営のノウハウがあると判断したから」(病院経営本部)といいます。都が医療のノウハウがあると一方的に認めれば、商社やゼネコンにも責任ある病院経営ができるとする暴論です。

 この問題を都議会で追及したのは、日本共産党の吉田信夫都議です。吉田氏は駒込病院のPFI事業について、07年6月22日の都議会厚生委員会で質問。(1)入札金額がいくらであろうと入札参加企業が1社の場合、都側の審査で自動的に「満点」になる仕組みがある(2)入札上限金額が事前に示され、三菱商事の落札率が99・9%になっている――など価格引き下げ競争が成立していない事実を指摘し、この事業の「再検討」を迫りました。

 同じ委員会で質問した公明党の伊藤興一都議は、「厳正かつ適正に選定されていることがよくわかりました」と都のやり方を礼賛。他の自民や民主の都議は、質問さえしませんでした。

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