2009年7月6日(月)「しんぶん赤旗」
列島だより
革新懇 今熱い
地域・職場・青年革新懇が800を超えました。「国民が主人公」「住民が主人公」の政治革新をめざし幅広い人々が共同した取り組みが盛んです。神奈川県小田原市と山形県高畠町の革新懇活動を紹介します。
二大事業 撤回させる
神奈川・小田原市
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神奈川県の小田原革新懇は1999年に結成され、西湘労連など8団体と個人140人で構成されています。5月の総会に加藤憲一小田原市長から初めてメッセージが届きました。
革新懇結成後、すぐに「まちづくりシンポ」に取り組み、その過程で革新懇代表世話人を擁立して市長選をたたかったことを思うと、市長メッセージには歴史的なものを感じます。
私たちは「住民を主人公」にした「まちづくり」に、幅広い市民と協力して取り組んでいます。
小田原ではまちづくりにかかわる二つの大きな問題がありました。一つは駅前の一等地にタワービルを建てる再開発計画です。運動の反映で計画の手直しはあったものの業者との覚書締結を許しました。もう一つは、建て直しが迫られていた市民ホールです。それぞれの見直しを求める多くの市民が団体をつくって立ち上がります。革新懇は「二大事業の見直し」を市民団体と共同して、ビラの全戸配布・宣伝や精力的な署名活動、市民集会や監査請求、裁判などたたかいを展開しました。
そのさなか、2008年5月の市長選。「二大事業」の「推進」を表明した候補2人に対して「見直し」を明確に公約する候補者が1人。結果は「見直し」候補が圧倒し市民の勝利でした。現市長の誕生です。現在、二大事業は完全に撤回され、新たな建設計画の検討に至っています。6月10日の市長との要望と懇談でも、この件の実現を明確にしました。また、平和行政の充実でも「前向きな検討」を約束しました。しかし、まちづくりでは市議会での抵抗もあり、注意深い対応が必要です。
新春の集い、総会、終戦記念集会、バスツアーなど毎年、コツコツと積み上げてきました。
終戦記念日の「戦争体験を聞き語る集い」。昨年の語り部の女性は「話さず、お墓に…」と考えていたそうです。話は感動的なもので中学生から礼状が3通も寄せられました。今年のツアーは、43人が大型バスで郡上一揆の現地を訪ねました。
憲法を守り生かす運動は特別に重視しています。05年の「おだわら九条の会」発足以前から、憲法学習や「9の日行動」を取り組んできました。「会」呼びかけ人は革新懇会員が圧倒的に多く、9条の会運動をしっかり支えています。
文化行事の映画「郡上一揆」上映では、小田原の観客数は日本一だそうです。「ガラスのうさぎ」上映では8歳の子が「せんそうのことを世界の人が知って、せんそうをなくせばいい」と書くなど、子どもからお年寄りまでたくさんの感想文が寄せられました。
近隣2市8町に「革新懇を広げる」方針を2年前からかかげました。相談会などに参加し援助を続け、3月に湯河原、5月は箱根町に革新懇が誕生しました。広がる革新懇、国政革新を展望しつつ地方政治にも影響を与えている革新懇、いよいよ出番です。(小田原革新懇事務局長・富田彬道)
垣根作らず 誰とでも
山形・高畠町
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山形県の高畠(たかはた)町民懇話会(町民懇)は結成するとき、いわゆる革新的な方々だけでなく保守とみられている人々とも広く相談して進めました。革新懇の3目標に高畠独自に「住民本位の地方自治」を加え、4目標で出発しました。
田舎では「革新」を標榜(ひょうぼう)しただけで狭い集団になりかねないので、名称は町民懇話会にしました。
3年前の町長選のとき、一騎打ちの両候補を招いて政策を聞く会を主催しました。町民約100人が集まりました。選挙では新人の自民党推薦候補が当選しました。
新町長が就任して間もなく町民懇の代表は新町長に会い懇談しました。
「あなたは自民党推薦で選挙に出たが、当選したからには自民党の町長ではなく、町民の町長として町民本位の町政を進めるべきです」
「その通りです。選挙前の政策を聞く会では、町民懇が提起した政策課題を苦労して勉強したのでとても参考になりました。今後とも提言やご指導よろしくおねがいします」
このように、保守系の人々、立場上自民党につながっている人々にも垣根をつくらず積極的に交流するようにしています。
町民懇がとりあげる課題も政治的な問題に限定せずに、町民の関心のあるすべてに目くばりをしています。代表作「泣いた赤鬼」などの童話作家・濱田廣介の故郷であり、江戸時代から文芸の盛んなところでもあった、とりわけ文化の伝統のある町ですから、芸術、文芸、趣味の会、スポーツなどいろいろ重視し、会員はそれぞれの分野で積極的に活動し、町民とのつながりを広げています。
毎年春には「花の郷ヴァイオリンコンサート」を行い、音楽好きの町民によろこばれています。明春は4回目のコンサートを行うことになっています。
憲法を守る運動については、9条の会にさきがけて町民懇が縁の下の力持ちになって、「平和憲法を守る高畠町連絡会」をつくり活動しています。会独自には毎年、成人式(高畠町では5月3日)で憲法宣伝のリレートークが恒例になっています。
数年前、町の「有力者」が新しい歴史教科書をつくる会の県の責任者になって騒ぎだしたときには、いち早く学者を招いて町民対象の学習会を開くなど、先制的、包囲的作戦で動きを封じました。
会の運営にあたっては、役員会を重視し、逐一相談して集団的に進めています。
垣根をつくらず広く町民の中に入っていく活動で会員は現在、150人(対有権者比約0・7%)になっています。(高畠町民懇話会会長・島津昭)
全国革新懇の三つの共同目標 (1)日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざす(2)日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざす(3)安保条約をなくし、非核・非同盟、中立の平和な日本をめざす。