2009年7月11日(土)「しんぶん赤旗」
外国税額控除
大企業 5年で5倍
井上氏追及 外相「廃止図る」
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日本共産党の井上哲士議員は9日の参院外交防衛委員会で、日本とブルネイ、カザフスタンとの租税条約の質疑に立ち、日本が各国と締結している租税条約で認めている「みなし外国税額控除制度」の問題点などをただしました。
同制度は、途上国に進出する日本の大企業の子会社が、途上国の優遇税制により減免を受ける税額を、実際に納付したとみなす制度。国税庁の岡本榮一調査査察部長は、日本の大企業で同制度の適用を受けた控除額は、2003年分の220億円から07年分の1110億円へと、5年間で5倍近く拡大していることを明らかにしました。
井上氏は、1996年の政府税制調査会の法人課税小委員会報告やOECD(経済協力開発機構)租税委員会報告書の中で、同制度の見直しと縮小を論じているにもかかわらず、同控除額が拡大していることについての認識をただしました。
古谷一之財務省大臣官房審議官は「理由は必ずしも分析できていない」としつつ、日本が租税条約を締結するアジア諸国への進出企業の「経済活動が活発化している」ことを挙げました。
中曽根弘文外相は「課税の公平性と中立性に問題があり」「(途上国に対する)投資の促進に必ずしも資するものではない」ので、今後の租税条約改正交渉で同控除制度の「廃止・縮減を図っていきたい」と答弁しました。
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