2009年7月15日(水)「しんぶん赤旗」
麻生内閣不信任決議案への
こくた氏の賛成討論
衆院本会議
日本共産党の、こくた恵二国対委員長が14日の衆院本会議で行った麻生内閣不信任決議案に対する賛成討論は次の通りです。
国民から不信任をつきつけられた麻生内閣がなすべきはただ一つ、ただちに解散・総選挙を行い、国民の審判を仰ぐことです。
麻生総理は、安倍・福田総理と2代続いて政権を投げ出す前代未聞の異常事態を受け、昨年秋に政権の座に就きました。総理に就任して真っ先にやるべきは、解散・総選挙で国民に信を問うことでした。
日本共産党は、貧困と格差を広げた構造改革路線をどうするのか、アメリカ言いなりの自衛隊海外派兵を続けるのか、これら国政の基本問題を徹底審議した上で、解散し国民の審判を仰ぐことを要求してきました。
ところが麻生総理は、世論調査の支持率が芳しくないと見るや、一転して解散を先送りし、「政局より政策」「政局より景気」だと言い出し、4度にわたる予算を組み、総選挙をひたすら回避して政権の延命を図ってきたのです。
それが今日の内政、外交すべてにわたる深刻な行き詰まりを招いているのであり、麻生総理と自民・公明両党の責任はきわめて重大です。
不信任する最大の理由は、この間、景気対策と称して予算額だけは最大規模に膨らんだものの、財界奉仕、アメリカ追随という政治の基本は全く変わらず、そのもとで、国民は耐えがたい痛みを押しつけられていることであります。
世界的な経済危機に立ち向かう上で最も重要なことは、何をおいても国民の暮らしを守ることを最優先にすることです。ところが、麻生自公政権が行った対策は、「定額給付金」に象徴される一時的なばらまきに終始しました。
その陰で、母子家庭の児童扶養手当のカットを無慈悲に続け、生活保護の母子加算も容赦なく廃止し、国民の怒りの的となった後期高齢者医療制度をそのまま続け、応益負担の名で自立を破壊する障害者自立支援法もそのままです。
冷たい政治の根幹である、社会保障費を毎年2200億円削減する方針も撤回していません。
経済危機のもとで大企業が競い合って「非正規切り」を進め、雇用破壊の波は正社員にも及び、失業率は5%を超え急激に上昇するなど、雇用問題はきわめて深刻です。労働者派遣法をはじめ雇用ルールの規制緩和、財界大企業が労働者をモノ扱いする「首切り自由の使い捨て労働」に、全く反省もなく、麻生内閣は、労働者派遣法の抜本改正に背を向け、雇用破壊を食い止める具体的手だてをとっていません。中小企業のあいつぐ倒産、大企業による仕事減らし・下請けいじめなどにも抜本的な対策は全くありません。
外交政策では、世界が大きく変化しつつあるもとで、日本外交のあり方が問われています。ラクイラ・サミットで、「核兵器のない世界」の探求が大きな議題になったにもかかわらず、唯一の被爆国である日本代表の麻生総理は何のイニシアチブも発揮しなかったのです。一方で、従来通りのアメリカ従属の海外派兵路線をとり続けて、憲法9条をふみにじっています。
麻生内閣は、米軍再編計画を進め、米国グアムに建設する米軍基地に日本国民の血税を注ぎこむ協定を締結し、その予算を押し通しました。ソマリア沖の海賊を口実に自衛隊の海外派兵を拡大する「海賊対処」法を成立させました。日本から遠く離れたソマリア沖で、自衛隊が戦後初めて人を殺傷しかねないのです。
北朝鮮問題では、すでに全面禁輸などで安保理決議を十分実行しているにもかかわらず、日本領域外の公海上に貨物検査を口実に自衛隊を出動させる法案を提案していることも重大です。
麻生・自公政権がやっていることは、経済危機にさいして“選挙目当てのばらまき”の「対策」を繰り返し、海外派兵と憲法改定を進めることです。21世紀の日本の「進むべき道」どころか、選挙後の展望すら示すことができず、自らの延命のための党略にきゅうきゅうとする自公政権に、これ以上国政を委ねるわけにはいきません。
日本共産党は、きたるべき総選挙で、行き詰まった自民党政治―あまりにひどい大企業中心、異常なアメリカ言いなり政治を大もとから変える改革で、国民生活を守ることをかかげて、国民の信を問う決意を表明します。
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