2009年7月23日(木)「しんぶん赤旗」
水俣病特別措置法にたいする考えは?
〈問い〉水俣病特措法が自公、民主などの賛成で成立しました。同法への日本共産党の考えを教えてください。(福岡・一読者)
〈答え〉水俣病は公式確認から53年、公害健康被害補償法の認定申請者が6千人を超えるなど大勢の被害者が救済を求め、高齢化も進んでいます。
「水俣病特別措置法」は、認定申請が進まない中で「仲間も亡くなり、もうこれ以上引き延ばせない」「生きているうちに救済を」と願う被害者の最低限の要望に応えたものです。救済を急ぐことは当然です。
問題は、被害者らの望む真の解決策であるかどうかです。
特措法は、第一に救済対象を手足の感覚障害から全身のしびれなどに広げたとしています。しかし、前文で「公害健康被害補償法に基づく判断条件を満たさないものの救済を必要とする方々」とあるように国の判断基準を見直し、公健法で水俣病と認定して補償するという2004年の最高裁判決や被害者の願いに応えていません。しかも、認定申請者や訴訟提起者は救済の対象外です。
第二に、加害企業の責任逃れを許す「分社化」を盛り込んでいます。補償会社となる親会社と事業を行う子会社に分けるもので、分社化後に親会社が消滅すれば国と県が責任をかぶり、新たな潜在的被害者の救済の道も閉ざされます。一方、子会社は利益をむさぼり続けます。
第三に、3年以内を目途に救済措置の対象者を確定するという条文があり、3年以内の幕引きを図るものとなっています。
公害の原点といわれる水俣病の未認定患者は、長年の苦しみや差別に耐えながら水俣病被害者と認定され、正当な補償が受けられるよう切望しています。
そのため、日本共産党は▽水俣病被害者を切り捨ててきた国の判断条件を見直すため、公健法に最高裁判決に示された認定基準を明記する▽すべての水俣病被害者の救済のため、不知火海沿岸及び阿賀野川流域の住民の健康調査を実施し、被害の全容を解明する―などを求めています。全被害者が最高裁判決に基づいて救済されるよう、たたかいはこれからです。 (田)
〔2009・7・23(木)〕